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予言書と予言者と

舞台は近未来の、2930年。


日本のとある街に生きる少年・レンは自宅の蔵で、とある本を見つける。


予言書と呼ばれるその本を巡り、レンの人生は大きく動き始める事に─

─第2話─


『お!この本なんだろ?』


レンは蔵の2段目部分に、()()()()()()()()置いていなかった、見慣れない本を見つけた。


当然の事ながら興味をそそられ、慌ててその手に取ってみる。


『随分、埃っぽいなぁ。。』


パタパタと、表紙にたまる埃を手で払いながら、手に取った本は、一見すると厚みはあるが、見た事のない絵が描かれていた。


茶色っぽい分厚みのある表紙に、タイトルは特に書いていない様に見える。


昨日見た時には、確かになかったはずだ─


疑問に思いながら表紙をめくってみると、白紙。


ペラペラと、何も描かれてはいないノートの様なページをめくっても、どこにも文字一つ書かれていなかった。


『なんだよ、これ!』


床に投げ捨てると、次のお宝探しの為に目を奥へと向けた。


昨日の時計は、どこかな?

目だけを動かし、棚のあらゆる所を探す。


だが─


背後に感じた、なんとも言えない圧迫感というか、変なプレッシャーの様な物に押し潰されそうになる感覚を覚えていた。


なんだよ、これ─


妙な圧迫感から逃れられず、どうしても先程の不思議な本が気になり、もう1度投げ捨てた床へと目を落とす。


そうすると─

床に投げ捨てたはずの本が浮遊し、いつの間にかレンの手の上に戻って来ていた。


???


頭の中で、はてなマークが浮かび続けていた。

え?と、声を上げると一瞬怖くなり、もう1度床へと投げ捨てる。


しかし─

何度投げ捨てようと、その不思議な本は、必ずレンの手の上に帰って来ていた。


『なんなんだ?この本は…』


体中に沸き上がる恐怖を感じながらも、心の奥底に眠る好奇心には勝てず、恐る恐る、もう1度その表紙をめくってみた。


なんと─

1ページ目には、さっき見た時には確かに全くの白紙だったページに、文字が浮かんで来ていた。


【予言書】


壱、10年以内にAIによる独立戦争が起きる。


弐、20年以内に磁場変動による大地震が起きる。


参、独立戦争の発生はこの街より始まる。



『何だこれ??は?どういう事よ?』


訳もわからず、恐怖と驚きとに支配されて行く感覚を体中で感じながら、再び不思議な本を床に落とした。


の、だが─

その本を拾い上げ、レンの手の上に戻したフードを被った何者かが、そこにはいた。


『この本が読めたと言う事は、お主が。。』


不意に頭の中に流れ込む初老の声に驚き、目の前のフードを被った何者かにたじろぎ、気が付けばその場に尻もちを付いていた。


『あ、あ、あんたは、な、何者な、なんだ』


精一杯の虚勢を張り、見知らぬ何者かに恐怖を感じながらも、その目はフードのその奥に見える、瞳の妖しい光を捉えて離さなかった。


どこから来た?


そして─

お前は誰なんだ?


様々な疑問が、秒速で一気に脳内をかけめぐる。


だが─

レンの本心は、疑問や恐怖に支配されながらゆっくりと動かなくなる事それよりも、【予言書】の内容の方が気になっていた。


『詳しい事は、まだ言えぬ。今は、時間がない。』


初老の声は、脳内に告げる。


『とにかく、お主は……』


そう言いかけて、初老の男の声は止んだ。


『レーン!今日こそ、学校行くよぉー!!』


その声にハッとなり、尻もちを付いたまま声の方へ振り返る。


見れば、リンが迎えに来ていた─


なんだ、リンか。。と、ホッとしながらも会話の続きが気になり、前を向き直るとフードを被った何者かは、そこにはいなかった。


しかし─

今のやり取りが夢ではない事を、現実で起きた事である。と、しっかり物語る様に、レンの右手の脇には【予言書】がしっかりと、置かれていた。



┈┈┈┈┈┈┈ ❁ ❁ ❁ ┈┈┈┈┈┈┈┈


とある山奥─


「ピピピピ………」


「マップデータ……入力完了」


『まスたー…どコ……』


「サーチ……完了」


『今…カら…守…らレ…ロ』


前方を見つめながら、ゆっくりと動き始めたMLR-913型。


自らの役目を果たす為、自らの脳内に記録されたマスターを探す為に─

謎の予言者に遭遇し、予言書を手にしたレン─


果たして、、、

レンの今後は─!?


そして─

マスターを探し始める、MLR-913型。


今後の展開を、お楽しみに。

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