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第五章 崩壊(8) 二つの戦力(2)

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 どこでどう聞きつけたのか、アリアスの下に人が集まりだしていた。その中には魔術を使う者さえいた。その中の一人、ベヘルと名乗る男がその魔術軍団を率いた。

 「随分人が揃ってきたようじゃな。」

 老婆が馬場まで来てアリアスに笑いかける。

 「まだ十分ではありません。それにもっと馬も欲しい。

 明日は西に馬狩りに出かけます。」

 馬を狩る、それは塩と馬で経済を興したレジュアスとの摩擦も考えられた。が、アリアスはそこも上手く立ち回っていた。

 レジュアスからの要請があればレジュアスの傭兵となり、かの国の辺境に集まるならず者を叩き潰し、その代償として数は限られたが馬を獲る許可を得ていた。

 「明日は三十ほど馬を捕獲します。

 野生の馬を馴らし、騎馬兵を養成するのは時間が掛かりますが、それも戦略の一つ。

 我が軍が形を成すまでに時間が掛かることをお許しください。」

 アリアスは老婆に頭を下げ、老婆はニコニコと笑いながらそれを見ていた。

 アリアスの隊はこれで騎馬兵が百を超える。アリアスの考えでは主体は騎馬隊。それが敵陣に開けた穴を拡大するのがオーエンが率いる重装歩兵隊。最後の勝利は名もない者達の集まり軽装歩兵隊にゆだねる。そうすることにより人が集まると考えていた。

 だが問題もあった。ベヘルが率いる魔術隊。その数は十四、五人に増えていた。だが手柄を焦るあまりバルバロッサと戦えば森ごと彼らを焼きはらい、バルバロッサ以外の森に住む者達の棲み家も削っていっていた。だがその戦闘力は強力。アリアスをしてもそれを切ることは出来なかった。その上、光の子の消息はまだようとして解らない。

 まだこんな日々が続くのか。アリアスは歯噛みする思いでレイエスの諜報隊の情報を待った。

 そんなある日。

 晴天の空に黒い点が浮かび、その姿が確認できるようになる。

 龍だ。飛龍だ。と訓練をしていた者達が口々に叫ぶ。

 その騒ぎを聞きつけたアリアスも慌てて外に飛び出る。

 兵達は既に空に向け弓を引き絞っている。同じように空を見上げたアリアスの目にちらっと人影が映る。

 「()つな。」

 アリアスが兵を制止する。

 空飛ぶ龍の影が大きくなりアリアスの前に降り立つ。

 闇の勢力かと騒ぎ立て、戦闘の態勢をとるアリアスの兵士をよそに、

 「ウォレスです。」

 飛龍の背を降りアリアスの前に立った戦士はそう名乗った。

 四十がらみの男の後ろに次々と飛龍が舞い降りる。

 「闇の勢力を滅する戦いを起こすとか。」

 ウォレスはそこに集まった兵士達を見渡した。

 「どこでお聞きになられましたか。」

 「私の諜報隊が聞きつけた。

 我等も光に与する者。取るものも取り敢えずここまでやって来た。」

 礼のつもりかアリアスは軽く頭を下げた。が、まだ警戒の色は崩さない。

 「なぜこの地で兵を養っているのですか。」

 「この地の名はモングレトロス、偉大なる山の民の地という意味です。」

 「代々光の子を護る者が生まれる地・・だ、そうですな。」

 アリアスが頷く。

 「我等はオービタス山地の山奥、ルミアスの東“裂け谷”の近くに住んでいます。

 我等も代々陽の因子を持ち、光の子を信奉しています。

 裂け谷には我等の他にドワーフ族も暮らし、彼らは地下王国を築いています。

 それらも貴方の味方と考えてください。」

 ウォレスはアリアスの前に丁寧に頭を下げた。

 その姿にアリアスは一泊を請うた。

 食と僅かな酒の席、

 「光の子の所在は掴めましたかな。」

 同席していた老婆がウォルスに尋ねた。

 「ドワーフ達の力も借り、八方手を尽くしていますが、まだ・・・

 あなた方は。」

 「儂等もまだじゃ。

 だが、この地の若者が血を滾らすと言うことは何処かで光りの子が生まれ、闇との戦いが始まろうとして居るはずじゃ。」

 「それを聞いただけでもここに来たかいがありました。

 ですが時はまだ・・」

 老婆が大きく頷く。

 「ところで、兵は集まっていますか。」

 ウォルスはアリアスに向き直った。

 「まだ四百程度の微弱な勢力です。」

 「私が率いる龍騎士(ドラゴン・ナイト)は三十人。その他に陸上部隊二百人が手元にあります。存分にお使いあれ。」

 「私達はいたずらに戦いを好むものではありません。

 お婆が言うように時はまだ。

 闇の軍勢が動いたときが、我等が動くとき。それまでは小さな闇を払うばかりです。

 その戦いに過剰な戦力は必要としません。」

 アリアスはきっぱりと言った。

 「確かに・・仰るとおり。それでは我等が動くのもまだ先。それまでは武を練り、光の子を探すことに邁進しましょう。」

 「龍騎士(ドラゴン・ナイト)・・この参加は大きなことじゃな。」

 アリアスと固い握手を交わしたウォレスの姿を見送りながら老婆が言った。


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