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第四章 囚われる(18) 若き獅子の台頭(3)

 村の引っ越しが始まると、案の定バルバロッサの動きが慌ただしくなった。それを、アリアス達が叩く。そんなことが何回か繰り返され、空っぽの村の先で二つの勢力が対峙するようになった。

 「村には誰も残っていないか。」

 アリアスの問いに、応とレイエスが答える。

 「よし村に入る。」

 それからやっと根拠地となる村に向け退き上げを始めた。

 攻めても攻めても村は落ちないどころか自分達の損害の方が大きくなる。バルバロッサはその村を諦め、他の村へ向かおうとした。そこへ今まで守勢一方だったアリアスの部隊が襲いかかる。後ろを見せた相手を襲う戦いは一方的だった。

 それを手始めにアリアスの隊はバルバロッサを破り続け、当初の目的通り、彼らをオービタス山地に押し込めた。

 砦となる村にはオーエンを残し、アリアス達はモンオルトロスに凱旋した。

 そのアリアスが最初に向かったのがお婆の所。

 「人選は済んだ。七人ずつ七組。後はそれぞれの指揮者とそれを統率する者。」

 「それは私が選んでおきました。」

 アリアスは指揮者となる者、七人の名を老婆の手元の羊皮紙に書き込み、

 「そして、それを統率するのはレイエス。

 後はあいつがそれを承諾するかどうか・・・」

 きっぱりとした口調の割にアリアスは不安げな顔を見せた。

 「連れておいで、レイエスを。」

 お婆がにこりと笑い、それに安堵感を覚えたかアリアスは老婆の家を出た。それから小一時間ほどでアリアスはレイエスを伴って再び老婆の家を訪れた。

 「さてさて・・どう話そうかねぇ。」

 説得のし方はてっきり決めていると思っていたアリアスはあっけにとられた。

 「何の話しですか。」

 レイエスの方が催促する。

 「いやぁ・・なに・・ね。」

 「はっきりしてください。」

 「うん・・はっきり言うとお前にはアリアスとは袂を分かって貰おうと思ってね。」

 「何だと。」

 当然声が大きくなる。

 「お前にはお前の仕事がある。それはアリアスを補佐する大事な仕事だ。」

 レイエスの怒りが収まるのを待ち、お婆がたたみ掛ける。

 「お前は世の中の情勢を知っているか。」

 レイエスが首を横に振る。

 「ではアリアスは知っていると思うか。」

 レイエスの反応は先ほどと同じ。

 「今から打って出る世界の情勢も知らずに事を成せると思うか。」

 もうレイエスは黙っているしかなかった。

 「そこでだ。お前がアリアスの目となり耳となる・・・どうだ引き受けてくれぬか。」

 「では俺が各地を歩き回るのか。」

 「いや、そうではない。」

 「ではアリアスと一緒に・・・」

 「そうでもない。

 お前はここに残る。この地モングレトロスにな。」

 「そうして何をする。」

 「儂は七つの諜報隊を造った。それらが集める情報を、ここに残って総合的に判断する。それがお前の役目だ。」

 「だが・・・」

 「黙って聞け。

 その判断をアリアスに伝え、その上で諜報隊の次の動きを決めていく。

 それがお前の仕事だ。

 華々しい仕事ではない。

 だがそれがなければアリアスの動きは無駄なものとなっていく。

 どうじゃな・・やれるか。」

 「考えさせてくれ。」

 レイエスは絞り出すようにそう言ってお婆の家を出て行った。


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