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第四章 囚われる(16) 若き獅子の台頭(1)

 「お前は幾つになった。」

 老婆が若者に訊く。

 「二十二です。」

 キラキラと輝く目を持つ若者が応えた・

「そうか・・もうそんなになったか。」

 モングレトロスの村、若者の下にはすでに二百近くの戦士が集まっていた。

 「そろそろ、実戦の経験が必要かと思います。」

 若者の眼が老婆を見据える。

 「バルバロッサを知って居るか。」

 老婆が尋ね、若者が頷く。

 「先ずはあやつらじゃろうて。実戦の訓練には丁度良い。」

 「その間にやらなければならないこともあります。」

 「それは何じゃ。」

 「情報・・この地は争乱の地、北より余りに遠うございます。その地の情勢、それに敵となるものの動向、それを知っておく必要があります。」

 「一番難しいのぅ・・それが・・・・」

 老婆が困惑の色を見せる。

 「もう一組織・・と、私は考えています。」

 「だが・・・」

 「私を・・いえ、私達を育てるために各地に散っていった村人、その人達を使っては、と、考えています。」

 「その手があるか。すぐに村長(むらおさ)に誰が何処に居るか調べさせよう。」

 立ち上がり掛ける老婆に、

 「もう一つ。」

 若者が再び声を掛ける。

 「その連絡役。それが私が考えるもう一つの組織です。

 動くべき時には、素早くそして一意に動かなければなりません。その為にも大事な組織かと思われます。」

 老婆は大きく頷いた。

 「おーい、アリアス。」

 老婆の家を出た若者に同じような年格好のまるまると太った若者が声を掛けた。

 「何があった。」

 百人力のジュドウ。皆は彼をそう呼んだ。

 「オービタス山地の麓の村がまた襲われたらしい。」

 「バルバロッサか・・今もお婆とその話をしていた所だ。」

 アリアスはジュドウの横に並び、馬場に向かいながら老婆との話を伝えた。

 「口外は無用だぞ。」

 馬場に着く頃にアリアスはジュドウに第二の組織の事を硬く口止めした。

 アリアスとジュドウの姿を見止めたのか馬場では戦士達が勢揃いをしていた。

 「全員揃っているか。」

 ザッと音がし全員が踵を揃える。

 「知っていると思う、バルバロッサの横暴を。

 奴らは強国フィルリア近くの村は狙わず、南の村ばかりを襲っている。これに歯止めが必要だ。よって我等がその任に当たる。」

 上がる歓声を押さえアリアスが続ける。

 「我等にとっては初陣、皆の者、気を引き締めて準備に取りかかれ。」


 翌朝にはアリアスの軍は村を発った。行く先はオービタス山地の南。そこまで三日から四日の行程が掛かる。

 村を出るとすぐにアリアスは軍を三つに分けた。一つは自身が率いる騎馬隊、その前面にジュドウが指揮する重装備の戦士隊、そしてもう一つはジュドウと同じようにアリアスの幼なじみレイエスが率いる軽装の斥候隊。まず斥候隊が隠密理に行き先を探り、その後に本隊が通る形を作った。

 「慎重過ぎはしないか。」

 「バルバロッサは神出鬼没、要心に越したことは無い。」

 戦いを軽視するようなレイエスの言葉にアリアスは微笑みで返した。


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