第第四章 囚われる(11) 新たな仲間(9)
「カダイを守れってどう言うことだ。」
その夜更けにアレンがワーロックに小声で尋ねた。
「テアルの占い師を覚えているか。」
アレンが頷く。
「あれはリャーノーンシーという妖精だ。人に霊感を与える。が、その代償は死だと言われている。
カダイが語ったこともリャーノーンシーが与えた霊感。つまりカダイは・・・」
「解った。カダイを守る。」
「運命の時がいつ来るかは解らん。だからこそ頼む。」
二人の会話をサイゼルも聞いていた。
朝起きるとすぐにサイゼルはブルベガーを呼び出した。
「話を聞いていたのか。」
アレンが軽く笑い、それに応える様にサイゼルが困った様な笑いを漏らす。
「まあ、用心に越したことはないか。」
「ハオカーの洞窟に向かいましょう。」
ジューノがそこに居る全員に声を掛けた。
「ハオカーの洞窟の近くには鬼族が巣くっています。中には僕にできるものも居ます。」
ジューノは先だって歩き出す。サイゼルはそのすぐ後ろにブルベガーを配した。
そのブルベガーがすぐに反応を示す。
「なんだこいつは足先に鎖鎌なんかつけやがって。」
アレンが素っ頓狂な声を上げる。
「ビルヴィス。低級な妖鬼だ。だが、見ての通り戦闘力は階位の割に高い。倒すのは簡単だが気をつけろ。」
ワーロックが大声で注意を促す横を矢が飛んで行き、彼の言葉を証明する様に一体の魔物を屠った。それに勢いづいたか各個が十体以上の魔物に戦いを挑んだ。
暫くの戦いで現れた魔物は全て斃した。
皆の怪我をワーロックは心配したが、かすり傷程度のものでしかなかった。
「あれです。」
ジューノが指さす先に真っ暗な洞窟の入り口がポッカリと口を開けていた。
「また出るぞ。」
入り口を入るとすぐにアレンが先頭を行くブルベガーの様子を見て声を掛ける。
「暗い所と言えば・・餓鬼。」
言いながらアレンはクナイを投げた。
「なるべく精は温存しておけ。」
数多くの餓鬼に対し光を使おうとするサイゼルをワーロックが制する。また武器を使って闘う。その闘いも長くは掛からなかった。
アレンが呼び出した火鼠の明かりを頼りに奥へと進むと、現れたのはアズミ。魚の頭に人の女の体、四つん這いで迫ってくる。
「一体は残せ。ミーアの僕にできる。」
「ランダのところへは・・・」
「ここまではさすがのあいつの目も届くまい。」
ワーロックが笑った。
「俺は魔物は使えんのか。」
ドルースがワーロックを見る。
「低位のものなら使えるはず。先で探しましょう。」
ワーロックはドルースにも笑いかけた。
「魔物を使うには二つの方法があります。
一つは自分自身に取り込む。もう一つは実体として連れること。
はじめの方法は必要なときだけ魔物を呼び出すことができます。便利ではあるがこれは多大な精を使い、召喚魔が主人の精を喰い尽くすとその主人は枯れ果て死を迎える。また召喚魔の階位が主人に成ろうとする者の権能を越えていれば、取り込むことはできない。
二番目の方法は魔物に自身の血を飲ませることによって命を与えることができる。この方法は全ての魔物に通用し、精も使わないで済むが、もし、魔物の階位が血を与える者の権能を越えていれば魔物は勝手に行動し、主人の意とは関係なく本来の魔物の行動を執る。」
その後、ドルースには骸骨の戦士スパルトイ。ミーアには般若の一種、黄泉醜女。そしてサイゼルには低級ではあるが鬼神のモムノフ。それぞれが従う様になった。




