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第第四章 囚われる(10) 新たな仲間(8)

 東の空が明るくなる頃、最初に目を覚ましたのはアレン。

 「奇妙な服の女に囲まれている。」

 声を上げる。それに応じ皆が目を覚ます。

 「マンイーターか。どれ位いそうだ。」

 「解らない。林の中にも居る。」

 アレンが土盛りを越えると、その姿に向け魔物が牙を剥く。

 アレンは柄無しの大鎌を構えその群れに斬り込む。続くのはドルース。そしてサイゼル。

 「カダイ。中を守れ。それとミーア、攻撃の魔法は。」

 「使えません。」

 ワーロックの問いにミーアが下を向く。

 それには構わずワーロックも土盛りの外に出る。その眼の先でアレンがネヴァンを呼び出す。

 「なるべく(ジン)は使うなよ。」

 ワーロックがそれに注意を与える。そう言いながらも自身もまたグリーンマンを呼び出す。

 サイゼルもまた、右手を突き出す。

 (スフィ・・・)

 「よせ。」

 その心の声を読んだのかワーロックが止める。

 「階位(レヴェル)が高いものを呼べばそれだけ(ジン)を使う。お前にはまだその力はない。この後に響く。」

 召喚魔、それにそれぞれの戦いで全てのマンイーターを屠った。

 「先に進むぞ。」

 ワーロックが促し、アレンが先頭を切る。

 「召喚魔の話・・しておかなければ為るまい。」

 ワーロックが歩きながら皆を見渡した。

 「魔物にはそれぞれ固有の階位(レヴェル)がある。

 例えばさっきのマンイーター。あれは最低位の魔物だ。通常の武器でも倒せる。その次が低位のもの。こちらの力にも寄るが梵字の呪がある武器であれば間違いなく倒せる。次が下位の魔物。奴らは特殊な武器でなければ倒せない。

 そして中位以上の魔物。こいつ等は武器の質、それに個々が持つ権能(パワー)があわされて初めて倒すことができる。

 また、それを(しもべ)とし、召喚するにも魔物の階位(レヴェル)が高ければ高いほど、それを使うのに多くの(ジン)を必要とする。」

 「権能(パワー)って何だ。」

 ドルースがワーロックに質問する。

 「魔力、妖力、呪力、霊力、神力がある。

 魔力とは魔術を使う力。妖力があれば妖術、幻術が使える。呪力を持てば呪術を、霊力とは人に備わる力、全ての術にある程度通じる。そして神力とはその全てを併せ持つもの。

 これらが備われば魔物を使える様になる。」

 「術にもいろいろあるんですね。」

 カダイが口を挟み、ワーロックが話を続ける。

 「この世には四つの元素(エレメント)があり、それらが光と闇、それにその間、中立なものに支配される。

 四つの元素(エレメント)とは火、水、土、大気を表す。

 それぞれの術とはこれら併せて六つの力を体現する。

 例えば魔術には白と黒の二つがあり、白魔術は癒やし(ヒール)などを主とし、光が支配する部分が大きい。ミーアの力がそれだ。

 黒魔術は傷つける力。火炎を使ったり雷を使って敵を倒す。

 どちらも同じように(ジン)を使う。」

 「話もいいが先にドルースの武器をどうにかしてやってくれ。」

 先の方からアレンの声がする。

 ああ忘れていた。とワーロックがドルースの槍と剣を手に取り細工を始めた。それを待っていたかの様に、

 「お客さんが出るぞ。」

 と、またアレンの声。現れたのは異様に大きな頭を持ち緑色の体をした人。

 「モコイだ。ずっと我等を付け狙っていた。一気に倒すぞ。」

 ワーロックが気合いを入れる。

 「強いのか。」

 「弱い。魔物との戦いの訓練には丁度良い。」

 尋ねるドルースにワーロックが笑いかける。

 その横をカダイが進み出る。それを見てワーロックは鋭く指笛を吹き、アレンに注意を促す。

 相手の武器は棍棒。その攻撃を左手の斧で受けながら右手の梵字の斧で斬り斃していく。その横に進み出たドルースとサイゼルも魔物を斃し、三人の後ろに回ろうとするものはアレンがクナイで斃す。

 モコイの集団の後ろにはインプが続く。そしてアガシオン。それらの群れを四人で次々に倒していく。

 「使い魔が多いな。」

 それを見ながらワーロックが呟く。

 「どう言うことですか。」

 耳敏くそれを聞きつけたミーアが尋ねる。

 「魔女か魔術師・・・その類いの者が居る。

 このまま進むのは危険だな。」

 あらかたの魔物を斃したところでワーロックは皆を呼び寄せ、魔術師、または魔女の住み処を探す様に指示した。

 「それならこの先に洞窟があるぞ。」

 ワーロックの指示にすぐにアレンが応えた。

 「怪しいな・・・」

 「怪しくはありませんよ。あれはハオカーの棲み処ですよ。」

 誰だ。と皆が声のする方を振り向いた。

 「ジューノと申します。幻術師です。とは言っても先ほどの魔物達とは何の関係もございません。」

 「なぜこんな所にいる。」

 ワーロックが詰問する。

 「アンドヴァリという妖精をご存じですか。」

 ああ。と、ワーロックが鷹揚に頷く。

 「昔、あやつはランダに半分以上の財宝を取られました・・ですが、あやつの手にはそれでも多くの財宝と三つの指輪が残りました。

 そのうちの一つ“富の指輪”を私は欲し、ここまで来ました。ですが、私の様な者を獲物にする凶獣もまたこの山に棲み着いています。」

 ここでジューノは一息ついた。

 「困り果てている所にあなた方です。渡りに船と出てきたわけです。

 「ところで、お前はこの山の中・・どこに居る。」

 「居るのではなく住んでいるのです。

 その間に私はこの先のハオカーの棲み処を見つけました。そこで私はハオカーを従えることを考えましたが、私の力ではその望みも叶いませんでした。

 どうでしょう私と共にハオカーを従え、凶獣アンフィスバエナを倒しませんか。」

 「お前の取り分は“富の指輪”として、我々は。」

 「あなた方も目的はあるでしょう。私が望むもの以外のものであれば何でも。」

 「良かろう。」

 ワーロックは快諾の体を見せた。

 「では今日の所は私の住居で休息を。」

 住居といえるほどのものではなく、ただの掘っ立て小屋。

 「全員は無理だな。」

 ワーロックが笑う。

 「いいえそんなことはありません。」

 確かに中は思ったよりも広く、屋根裏部屋までがあった。


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