第三章 乱 台頭(8)
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今日もゴルディオスは戦野にいた。
自分のテントに主だった者を集め策を練っていた。
彼の戦力は三百。それを三つに分ける。
一隊は彼自身が率いヴィンツの最北に陣を張る。一隊はヴィンツの西に。そしてもう一隊は新たに興ろうとする。フレンツ川の中流の集落を叩く。
その会議の中に一人の男が現れた。
「お久しぶりでございます。」
そう声を掛けてきたのは、ガリアの首都ヘリンで会った修験者カッセルだった。
「おう・・来てくれたか。」
ゴルディオスが喜色を表す。司祭に薦められ、首都ヘリンで肝胆を相照らし合っていた。
「作戦会議ですか。」
その声にゴルディオスが頷く。
「緩と急を分けることです。今すぐ脅威になるのはどれか。」
「新しい勢力。」
「そうですか・・ですが話を聞くにその後ろ盾はヴィンツ。この連絡路を遮断するべきです。
一隊はその連絡路に深く入り、両者の通行を妨害する。一隊は新興の集落に常に圧力をかけ続ける。そして一隊はヴィンツの外郭の国造りを妨害し続ける。
仮にそれを第一隊、第二隊、第三隊と名付けます。」
カッセルはその場の全ての顔を見渡した。
「第一隊は敵中に孤立する可能性があります。が、ここに多くの兵は避けません。第二隊は最も神経を使う部署になります。第一隊を孤立させないように、かつ新勢力に圧力をかけ続ける。その兼ね合いが大事ですですから宜しければ私がこの隊を見ます。
第三隊、この隊の活躍によってヴィンツが第一隊にかける兵力の多寡が決まります。よってこの隊は終始勝ち続けなければなりません。それにはゴルディオス殿を除いてこの隊を率いる者は有りません。
いかがでしょうかこの策で。」
カッセルは改めて全員の顔を見渡した。
「それで行こうじゃないか。」
確たる声でゴルディオスが決断を下した。
「それではそれぞれ兵数ですが・・現在の総数三百のうち私が百、第三隊に百五十は最低限必要です。
となると陽動隊としての第一隊に渡せる兵数は五十となります。」
「となると第一隊の隊長か・・・命を懸けなければならん。」
ゴルディオスが陣内を見渡す。
「志願を募ってはどうかと・・隊長も兵も。」
「それしかないな。」
その日のうちからゴルディオスの兵達が動く。第一隊の隊長は三人の志願者の中から一番戦術眼があると思われる武将が選ばれた
カッセルは自身の部所に着くとすぐに兵員の割り振りを始めた。三十人を第一隊との連絡路を確保させ、二十人に陣を護らせる。自身は残りの兵員五十で新興勢力への攻撃隊を握った。




