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第三章 乱 台頭(6)

 第一地区となるべき川の中流に着いたザクロスはクローネに砦造りを任せ、デフィンと共にすぐにヴィンツへと向かった。

 二人はキリで二日待たされた挙げ句、テアルの宮殿へと呼ばれた。

 二人の前に三人の男達が座る。

 「賢者様は直接そなた達に会うことはない。用は我々が伝える。」

 声を発した真ん中に座る男にデフィンが用件を伝える。

 「下がって待て。」

 男達は奥へと入っていった。

 「どう思う。」

 宿舎に向かいながらザクロスがデフィンに尋ねる。

 「解りません・・しかし脈はあると思います。」

 その頃、宮殿の奥では・・

 「どう思う。」

 同じ言葉が出ていた。

 「二つの国を創るために我らの同胞が命を落としている。今日の連中を働かせ、その間に国を創ってもよいかと儂は思うが。」

 「しかし、賢者様はよそ者は入れるなと。」

 「それはこの国にと言うことだろう。」

 「素性が解らぬぞ。特にあの戦士風の男。きつい眼をしておる。」

 「だが言い分には理がある。」

 「矛を逆しまにはしないか。」

 など延々と議論が続き、結論はなかなか出なかった。

 翌日になり、同じように議論を続ける宮殿の奥に一報が入った。

 「またやられたらしい。」

 「新国の予定地か。」

 「ああ、敵の部隊は北西の方を完膚無きまでに叩き、そのまま南に向かったらしい。」

 「我らの同胞の血がまた流れたか。これでは我らの守りは薄くなる一方だ。」

 「背に腹は代えられん。昨日の連中。あの申し出を飲もう。

 敵の目をそちらに向け、その間に国を創る。」

 「だがもし攻められたら・・・」

 「我が国からは指揮を執る者だけを派遣する。」

 「兵士や人夫はどうする。」

 「近隣の村から集める。その間の時間稼ぎを昨日の連中に任せる。」

 「よそ者は・・・」

 「二つの国が出来上がったら我が国から王と将軍となる者を派遣し我らの属国となす。

 この国ヴィンツにはよそ者は入れない。」

 一時のざわつきの後十人の方針が決まり、ザクロスとデフィンが宮殿に呼ばれた。

 「鎧兜二百両。剣三百振。槍百本。弓百張。それに(ゴールド)百を与える。すぐにガリアを討て。」

 「我らは国造りの最中。まだ、他国に攻め入る力はない。」

 ザクロスがそう言い切った。

 「攻めぬと・・・暫く待て。」

 三人の男は慌てて奥へ引き取った。

 少なからぬ時間が経って、また三人の男が現れた。

 「援助を与え、お前等に何が出来るというのだ。」

 「昨日も申し上げたとおり・・・」

 「俺が話す。」

 ザクロスがデフィンの言葉を遮る。

 「あんた達はこの国を護るため外郭となる傀儡国家を欲している。だがそれは外敵のため往々にして頓挫している。

 そこでだ、俺達があんた達のために囮になろうというのだ。但し、あんた達のために好んで血を求めようとは思わん。

 あんた達が俺達に援助を与えればガリアは俺達もあんた達の息のかかった者と見なし、ガリアの侵攻隊は三つに分かれ防御が楽になり国造りが容易になっていく。それによってあんた達の目的が達成される・・・違うか。」

 ザクロスの剣幕に三人はたじたじとなり再び奥へと引っ込んだ。

 またしても待たされる。そして、

 「宜しい賢者様はお前等の申し出を飲むと仰った。

 物資の輸送は三日後、お前等からも兵を出し護衛をするように。」

 三人は恐ろしげなザクロスの目を見ずにそういった。


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