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第三章 乱 デビルズ・ピーク(14)

 そのままランダは尚も歩を進めた。その先に見たものは智恵の木。彼女の目にはその木になる実は見えない。

 ピュッと口笛を吹き、皆を待つ。

 先頭はワーロック。サイゼル、アレンとそれに続いている。ザクロス達は見えない。

 「あの木が見えるかい・・それに木の実も。」

 皆が肯く。

 「そうかい・・木の実が見えないのは私だけだねぇ。」

 サイゼルが怪訝そうな顔をする。

 「仕方がないことだね。私は智恵も過去も全て解っている・・あんた達とは違うって事さ。

 私が協力するのはここまで、後は自分達の力でどうにかしな。」

 ランダがニヤリと笑う。

 「さて・・木の実を採りに行くか。」

 ワーロックが進み出ようとする。

 「そんなに甘くはないよ。」

 ランダが指さす木の裏に何かの影。

 「ラドンだよ。七つの頭がお前達の命を待っている。」

 ランダはワーロックに目をやり、

 「あんたが本来の姿に戻るなら訳はないだろうけどね。」

 どうする・・とランダは続け、その言葉にワーロックは首を横に振った。

 その中からアレンが進み出る。

 俺が行く・・と言い、ドッペルゲンガーを召喚した。

 ドッペルゲンガーがラドンに近づく。ラドンがその姿を見て吠える。

 その声に併せるようにドッペルゲンガーの姿が変わっていき、そこに現れたのはもう一体のラドン、七つの頭を持つ巨大な蛇。

 智恵の木を守るラドンが一瞬たじろぐ。その隙を狙ってアレンが智恵の木に取りつきスルスルと登っていく。だが戻ってきたアレンの手には何も見えない。

 「智恵の実だ・・最初に誰が食べる。」

 アレンの言葉に皆が首を振る。

 「どうした・・・」

 アレンが言葉に詰まる。

 「お前にしか食べられない・・採ったものにしか見えないようだ。」

 ワーロックが残念そうな顔を見せる。

 「じゃあ、一人一人が・・・」

 「無理だラドンは倒せない。

 お前が食べろ。」

 ワーロックの言葉に智恵の実をかじりながら振り向くアレンの目には、もう智恵の木になる実は見えなかった。

 「ランダ・・お前なら・・・」

 「ああ、倒せるよ。」

 「なら・・・」

 「報酬は。」

 「報酬・・・」

 ワーロックとランダのやりとりが続く。

 「高くつくよ。

 あいつに誤魔化しは効かない・・となれば命のやりとり。私が怪我を負う可能性もある。」

 「見返りは・・何を望む。」

 「そうさねえ・・・」

 ランダは暫く考え、

 「サイゼルか、ヴァン・アレンの命。」

 「それは出来ない。」

 「ならば諦めることだね。」

 二人の会話が続く間にアレンが地に膝を着いた。

 「あの気だよ・・誰の仕業かは知らないけどね。」

 「仕方がないか・・時間がない。

 引き返そう。」

 ついにワーロックが折れた。


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