第三章 乱 デビルズ・ピーク(7)
× × × ×
「大丈夫か。」
水中に膝をついたレーネにザクロスが声を掛ける。
「精が・・・
結界が消えます。それに・・もう闘えません。」
「水から上がるぞ。今度は俺達の番だ。」
ザクロスはクローネを見、
「テッド、デフィン、レーネを頼む。」
言い残してザクロスはクローネと共に水の中から飛び出した。
無数の魔物、その後ろに四体ほどの人形。
「この上まだ・・・」
「全て倒すだけだ。」
クローネの言葉にザクロスが被せる。
槍が一閃し、二本の剣が舞う。そのたびに魔物が崩れ去っていく。だがその魔物達の後ろから、柄のない大きな双刃の鎌を持った人形が唸り声を上げながらが、旋風のように走ってくる。
デフィンがそれに向けて槍を投げる。が、それは簡単に弾き飛ばされる。
「アレン・・・」
レーネがその姿を見てか細い声を上げる。
「待って・・あれは・・ヴァン・アレン。
ハベトの所から旅立った人達。」
それを証拠立てるようにその人形は次々と魔物を倒していく。
その後ろにもう一人、刀を振るいこれも魔物を倒す。
「骸骨じゃない。」
先を駆ける少年が大声を上げる。
「グレムリンだ。構わず倒せ。」
若い男の声も聞こえる。
「ワーロック様、それにサイゼルも・・」
「私の仲間よ。闘わないで。」
レーネがあらん限りの声を張り上げる。その声が届いたか、少年の姿に身構えていたザクロスとクローネが異形の魔物を倒すことに集中する。
あらかたの魔物は倒しつくし二つの集団が水辺に集まった。
「レーネ、なぜここへ。」
「あなたたちこそ。」
ワーロックの問いにレーネが問いを返す。
まずワーロックが経緯を話し、レーネがその後に続いた。
「お前、子供は。」
「ハベトの所に置いてきました。」
ワーロックが静かにレーネの額に手を当てた。
「心縛・・・
いつ・・・」
ワーロックの目がザクロス達を見回し、クローネと名乗った女で止まる。
「憑依か・・・何が目的か知らぬが狡猾なことを。」
ワーロックが唾棄する。
「何事だ。」
ザクロスがそれを見咎める。
「何でもない。」
と言いながらワーロックは気を集中しながら皆を見渡した。