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第一章 幼子  人買い(1)

 その頃ランドアナ高原の北端にはプリンツ神国があり、宗教の名の下その勢力下にフランツ王国があった。

オービタス山地の北、ヴィンツと呼ばれる地には、(いにしえ)の七賢者が開いたという七つの都市国家があり、学問の府として栄えていた。そしてロンバルギア平原の北東の地にロゲニア。

 だが、国と言えばそれだけ。広大なロンバルギア平原はまだ、未開の部族に支配され、部族間の争いが絶えなかった。

 そんな不安定な情勢の中、ガルスの屋敷に一人の女が出入りを始めていた。

その女は黒ずくめのローブを羽織り、頭には黒いターバンを巻いていた。

 ローブとターバンの合間から見えるその女の顔は美しく、三十歳くらいの熟れた肢体が黒いローブの陰から垣間見えた。

「高く買いましょう。

 男児でも女児でも。」

ランダと名乗ったその女は寝物語にガルスに人身売買を持ちかけていた。

 「農奴は子を産む機械。そう考え、子を増やし、お売りなさい。

 労せずして富が手に入りますよ。」

 「考えておこう。」

 ガルスはその日はその美女の躰を堪能しただけで、その女を引き取らせた。

(子を売るか・・・それも良いかもしれんな。)

 ガルスはニンマリと笑った。

 翌日から農奴の子供達の物色が始まった。歳は八歳から十二歳まで。男児は農奴として、その中で躰の頑強そうな者は剣闘士として、女児は春をひさぐ者として、または召使いとして・・子が泣き叫び、親が子の名を呼ぶ中、次々と人買い女ランダに買い取られていった。

 「子をつくれ。また産めばよい。」

 農奴達の怨嗟の声の中、ガルスは大金を手に高笑いを残して歩いていった。


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