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第三章 乱 旧友(8)

    ×  ×  ×  ×


 夜が明けた。一番に目覚めていたレーネがハベトのベッドのそばに座っていた。

 「この子を育てていただけますか。」

 ハベトが目覚めるとすぐにレーネが口を開いた。

 「どう言うことだい。」

 「私はあの人達と一緒に行こうと思います。」

 「なぜ。」

 「この子が安心して暮らせる世の中を作るため。」

 首をかしげるハベトにレーネが続ける。

 「あの人達は虐げられた人達を集めて誰にも侵されぬ国を創ると言っていました。

 私も貧乏な家に生まれひどい生活を送っていた。でもたまたま私は魔力に恵まれ、それを力に父母よりもましな生活を送っていました。しかしそれも束の間のことでした。

 力の有る者に良いように使われ、あげくにこの身を売られてしまいました。」

 レーネの悲しげな目をいたわるようにハベトがその身を抱いた。

 「サイゼルの力でかりそめの自由は得ました。でもこの子と共にまだ追われる身、この子に私と同じような境遇を味あわせたくないのです。そのためにあの人達の夢に賭けてみたいのです。

 解ってください必ずこの子は迎えに来ますから。」

 「解ったよ・・・」

 ハベトは優しく笑いながら続ける。

 「だけど私の素性は知っていよう。」

 レーネが頷く。

 「その乳を飲めばこの子も・・・」

 「それも承知しています。」

 「じゃあこの子を育てるのに私の条件を言わせて貰って良いかね。」

 レーネが少し驚いたような表情を見せ、そしておもむろに頷いた。

 「あんたが帰らなかったときは私が勝手に育てるよ。」

 「勝手にって・・・」

 「育て方は私に任せて貰うってことさ。」

 レーネが頷く。

 「それにもう一つ・・・せめて名前はあんたがつけてやってくれ。」

 「名前は・・・サイゼルかワーロック様につけて貰おうと思っていました・・・けれど・・二人は・・・」

 レーネは傍らの羊皮紙を手に取り暖炉の炭でそれに何かを焼き付けた。

 「私が帰らなかったら、これをこの子に持たせてください。・・せめてもの・・母の・・・」

 そこまで言うとレーネは泣き崩れた。


 重傷の怪我人は置いていくことに決め、ザクロス達はレーネを含め七人、約束の地テアルに向け旅立った。


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