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第三章 乱 旧友(4)

×  ×  ×  ×


 その明け方、宴で酔いつぶれた三人をけたたましい銅鑼の音がたたき起こした。

 「敵です・・モアドスの兵が・・・」

 敵襲を知らせる大声までもが響く。

 「何人だ。どこから来た。」

 自分の戦斧を手に飛び起きたスローズが状況を把握しようと矢継ぎ早に声を上げる。

 「谷から五十人ほど。」

 伝令がそれに答え、

 「多いな・・だが何時もどおり。森で敵の数を減らし、すぐに味方を森の端まで退き上げさせそこで殲滅する。」

 スローズが指示を出す。

 「モアドスの兵だとよ。すぐに片がつく。」

「我らも手伝う。」

 ニヤリと笑うスローズにローグが声をかけ、ザクロスとともに武器を手に駆け出した。

 「森に深入りするな。みんなはこの山の麓で戦う。

 お前らもそれと行動を共にしろ。」

 その背中にスローズの声が飛んだ。

 ローグとクローネは木の上に渡された板橋を走り、ザクロスは森の端で仁王立ちで待ち構えた。

 森に入ったモアドスの兵は木の上から射られる矢に次々と傷ついていった。それでも何かに押されるように先へ先へと進んで行く。

 「何時もと違うぞ。」

 「人数のせいだろう。」

 そういう声が飛び交い、徐々に森の奥へと逃げ込み、そして森の端で木を降り敵を待ち構える。

 モアドスの兵が視界に入る。それに向けありったけの矢を放つ。ばたばたと倒れる兵達の中から、それらを踏みつけてこちらに突進してくる者達がいる。

 敵の集団の中に最初に斬り入ったのはクローネだった。彼女は二本の剣を翼のように広げ、木の上から飛び降りざまに二人のモアドス兵を血祭りに上げた。

 「無理するな。」

 声をかけながらその後をローグが追った。

 それを契機に森の端に陣取った者達が次々とモアドス兵に襲いかかった。

 ばたばたとモアドス兵が倒れる。何時もだとここでモアドス兵は退き上げるはずだった。が今日は・・・

 森のすぐ外、モアドス兵が岩山の麓まで侵入して来た。そこに待っていたのはザクロス。彼の前に立つ者は次々と槍の穂先にかけられた。

 それでも敵は進撃を続けようとする。

 「やけに手こずっているな。」

 スローズは戦況を見るために櫓の上に立った。その目に入ってきたのは森の外、今まさにそこに侵入しようとする敵。その数ざっと三百。

 「いかん。退却させろ。」

 スローズは近くにいた者に怒鳴り、

 「皆戦闘態勢を整えろ。まず逆茂木の線で敵を足止めし、その間に砦に籠もる準備をする。

 油断するな今度ばっかりは奴らも本気だぞ。

 見張り替われ。」

 スローズは吠えるように怒鳴り、櫓を降りた。

 モアドス兵の一番後ろ、旗竿にたなびくペナントの下、老女が見える。

 逆茂木に向け飛び去る矢に向けその女が呪文を唱える。と矢柄が燃え、それが逆茂木を燃やしていく。

 「魔女・・・」

 震えるように誰かがつぶやいた。


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