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第七章 堕ちる(5) 目指すは・・・(4)

 足下の悪い砂地が石混じりの土に変わる頃、真っ赤な馬に跨がった真っ赤な鎧を身に着けた騎士が現れた。

 「ベリトだ。」

 ジューノが続ける。

 「虚言ばかりを吐く残虐公。悪魔としての序列は二十八位。強いぞ。」

 ジューノが注意を促す間に土の中から人の女の顔をし、体に派手な模様持つ蜘蛛が続々と現れる。

 「ドルース、スパルトイと共に当たれ。」

 次に現れたのは全ての歯が繋がった豹コロコッタが数体、この相手はミーアが呼び出したオーマとジューノのヒトコトヌシが当たりジューノがその援護をする。

 「ベリトはお前に譲る。」

 アレンはあっさりと言い、辺りを警戒する。

 「まだいるからな。」

 その言葉が終わらないうちにスパルトイが一体、鋭い嘴の餌食となった。

 「土の中から鳥か・・・」

 アレンがそれに身構える。

 「鳥ではない。蛇だ。」

 ジューノが声を掛ける先から緑色の大蛇が現れた。

 それに対抗させる為にアレンもまたグリーンマンを呼び出す。土を払いながらその木の巨人の足に噛みついたのが八本の足を持ち地を這う鰐に似た龍タラスクス。

 ジューノはそれに向けキンマモンとノズチの呪符を投げる。

 「おいおいそんなに出して(ジン)は大丈夫か。」

 アレンがジューノを見る。

 「階位(レヴェル)の高いものは使っていない・・だがここまでだ。全体の援護は頼んだぞ、アレン。」

 ジューノはニヤリと笑った。

 「奴は・・ガープは」

 アレンは辺りを見回した。が、ガープの気配はない。

 「逃げやがったか。」

 「いや・・我々の(ジン)を使わせ奥の院の前で待ち伏せするつもりだろう。」

 「手ぐすね引いて待っているってことか。」

 「そういうことだ。

 ここは手早く片付けるぞ。」

 ジューノが凍らせるコロコッタをオーマとヒトコトヌシが次々と叩き潰していき。女郎蜘蛛と互角の戦いを続けるスパルトイを助けドルースが化け蜘蛛を斃していく。

 その間にグリーンマンの拳が巨大な蛇バニップの肋骨を叩き潰していく。

 タラスクに対してはキンマモンの魔術が動きを止め、そこへノズチが巻き付き締め上げ、動きの止まった鰐の頭にアレンが三本のクナイをたたき込みとどめを刺した。

 サイゼルはベリトの紡錘形の槍に苦しんでいる。が危機と見たドルースが投げた大鎌を足場にベリトの背後に回りファルシオンで一気に斬り下げた。

 「強くなったな。」

 闘いが終わりジューノがみんなの顔を見渡した。

 「但し、多大な(ジン)も使った。」

 「ガープの思い通りか。」

 「そういうことだ。」

 皆の顔が沈む。

 「そこでだ・・ここは一旦退き上げる。」

 「退き上げるだぁ。

 どこへ。」

 「ジュノンの方角に向かい、奥の院からなるべく離れた所で英気を養う。」

 「ここまで来て回り道か。」

 息巻くアレンの肩を叩き、サイゼルが地面に字を書く。

 「そうかいお前がそう言うなら・・・だがこれから先も(ジン)を使う。

 それをどうする。」

 「考えがある。」

 と言いながらジューノは北へ直角に道を変えた。

 まだ日は高かった。だがジューノは足を止めた。

 「ミーア土で丸屋根(ドーム)を造ってくれ、みんなが入れるだけの広さのな。

 アレンとサイゼルは枯れた灌木を集めろ。ドルースは俺の手伝いだ。」

 盛り上がり始めた土の回りにジューノが線を描き、それをドルースが浅く掘っていく。

丸屋根(ドーム)が出来上がる頃には円に五芒星の溝が出来上がりジューノがその中に白い粉を巻く。

 なんだそりゃ。と言うドルースの問いに、

 「動物の骨を焼いて粉にしたものだ。これで結界を張る。邪悪なものは当然この中には入れず、しかも見えもしない。」

 そこへ灌木を大量に抱えたアレンとサイゼルが帰ってきた。

 「ドルースは狩りに出ろ、血の出るものであればなんでも良い、魔方陣に振りかけられるだけ捕まえてくるんだ。

 アレンとサイゼル灌木をこの周りにまけ。それで命のある者の気配がわかる。

 今夜はここで一泊だ。」

 ジューノは丸屋根(ドーム)の中に入っていく。

 「俺はどうするんだ。」

 アレンが口を尖らす。

 「邪悪なものでなければ入れる。

 それとも・・・」

 「解った、解った。」

 アレンは皆まで言わせずジューノの後に続いた。

 「スクナヒコと煙の姿のままのアガシオンを警戒の為に外に放つ。」

 「(ジン)は・・・」

 「俺の召喚魔は呪符を拠り所としている。故に制御の為の(ジン)は使うが召喚の為の(ジン)は必要ない。」

 「便利なものだな。俺達には出来ないのか。」

 「陰陽道を極めなければ出来ない。」

 ガッカリとしたようなアレンの顔に、

 「そこでお前達に外付けの(ジン)を持たせることを思いついた。その為には俺とミーアが多大な(ジン)を使う。その回復を図るのがこの丸屋根(ドーム)だ。」

 不思議そうな顔をするサイゼルにジューノが続ける。

 「まずミーアの魔力で造られたこの丸屋根(ドーム)には大地の(ジン)が集まっている。その為我等の(ジン)の回復は容易になる。

 それと・・」

 ジューノがミーアを振り向く。

 「頼んでおいた革袋は出来たかな。」

 ミーアが頷く。

 「土床に大地の(ジン)を集めてくれ。」

 ミーアが念じ出すと、その間に・・。と、ジューノは再び丸屋根(ドーム)を出た。それに続いてきたサイゼルにドルースが捕まえてきた兎の血を魔方陣に沿って撒くように命じ、俺はと自分の鼻を指すアレンには、

 「お前は血を扱うな。せっかく浄化されつつあるお前の血が穢される。それよりスクナヒコとアガシオンだけでは外の警戒に手が足りぬ、何か持っていないか。」

 と尋ねるとアレンは小首を傾げた挙げ句。こんなのはどうだ。とスクォンクを呼び出した。

 「なるほど・・そいつならば目立たない。」

 ジューノが笑った。

 (ジン)を集めたと丸屋根(ドーム)の中から顔を出したミーアの表情はひどく疲れたように見えた。

 「この(ジン)をお前達に扱えるように変換する。」

 「どうやって。」

 アレンの声。

 「ワーロックのやり方を覚えた。」

 「あの一回でか。」

 ああ。と頷いたジューノが念じ、その土を革袋の中に一枚の呪符と共に入れる。

 「兎を。」

 それに加え絞った兎の血を滴らせる。

 人数分。一番大きいのがアレンの分、次がサイゼル・・と紐付きの革袋がそれぞれに手渡される。

 「魔物を呼び出す時、魔術を使うときにはこの袋の中に手を入れよ。そうすればまずこの袋の中の(ジン)から先に使える。」

 そう言うジューノの顔もまたミーアに負けず劣らず疲れ果てていた。

 翌朝、いつものように最初に目覚めたのはアレン、珍しくジューノの朝は遅かった。

 「行くぞ。」

 それでも皆に指示を出し、誰もそれに文句を言うものはなかった


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