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第六章 大戦(2)

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 ザクロスが去って暫くして三つの村を一人の男が東へ向けて通り過ぎた。その男をバルハードだという者も有り、違うという者も有った。

 ザクロスは彼の妻クローネを殺したバルハードを追いプリンツに入り、そのまま行方が解らなくなっていた。

 今まで帰ってこないと言うことは・・・

ローグ達の胸には一抹の不安がよぎっていた。そこへバルハードの話し・・本当であれば・・・

 ローグは噂の男を追った。がその男はバルハードとは似ても似つかない男だった。

 「違ったよ。」

 ローグはスローズとレーネの前で言った。

 「ではザクロスは・・・」

 「解らない・・」

 ローグはレーネの問いに首を振った。

 「あいつがいないと・・・」

 スローズがふと漏らす。

 「居ない者に頼るのはよそう。

 それよりもこれからどうするかだ。」

 「そうだよな。」

 スローズが顔を上げ、

「俺は今まで通りドボーグを守る。ローグは・・・」

 「俺も変わらずペンテンだ。

 問題はミズール・・レーネを首領にするとして・・・」

 「私に戦いは・・・」

 「そうだよな・・補佐か・・・」

 「誰かを探すか。」

 と、スローズが軽く言い、

 「バルハードのようにですか。」

 それにレーネが被せ、沈黙が流れる。

その沈黙を破り、

 「昔からの村の仲間しか居ないか・・人選はお前に任せる。」

 と、スローズがローグの顔を見た。

 「ブロウ・・かな。」

 暫く考えてローグが答えた。


 ドボーグの東、ロゲニアが創りつつある傀儡国家に一人の戦士が立っていた。その顔は紛れもなくバルハード。

 彼はまず住民の不満を駆り立てた。それに乗り多くの住民が武器を手に蜂起した。それからは乱。あちこちで戦闘が起き、その戦闘の地には必ずと言っていいほどバルハードが立っていた。

 ロゲニア軍が村を襲うと必ずと言っていいほどその主将の紅い筋いりの矢に頭を射貫かれた。遂にはロゲニアの武将は戦場で指揮を執ることを恐れだし、傀儡国家であるはずの国は数多くの村を纏め完全な独立を勝ち穫った。

 その国の名はバルハドス。その情報は必然的に国境を接するスローズの耳に届いた。

バルハドス・・バルハ・・・バルハードの国・・・奴は生きていた。と言うことはザクロスは・・・

 スローズはすぐにローグとレーネに使者を送った。だが、ローグはガリヤとの戦闘に追われスローズの元に来ることは出来ない。招集に応じたのはレーネだけ。そのレーネの不在を見越したようにミズールはプリンツの大軍に襲われた。プリンツ軍の戦術は稚拙、兵の力はミズールの者達には敵わない。しかし、信頼するレーネが居ない時を数で遥かに凌駕する敵兵に襲われミズールの者達は浮き足だった。

 それを知ったローグはペンテンの兵三分の一を引き連れミズールの救援に向かった。がその隙をガリヤに突かれた。ペンテンに押し寄せたのは五百人近くの兵団。そしてその後ろには真っ黒な鎧兜を着けた軍団が。

 ガリヤとペンテンの戦いの中にその黒い軍団が突き進む。その戦いぶりはただ殺すことそのものが目的のように、ガリヤの兵もペンテンの兵も殺戮した。

 ザクロス・・・ペンテン兵の誰かがが言った。

 先頭を行くのは血に塗り固められた鎧の男。手には槍を持ち手当たり次第に人を(あや)めていく。そしてその鎧には誰一人として傷さえ付け得なかった。その姿はザクロスそのもの。その通知はすぐにローグとレーネの元に走った。


 レーネはスローズから分けて貰った百人の兵を連れミズールに急いだ。そこに入ってきたのはペンテンの悲報。村人を含め殆どの者が殺されたという。その殺戮を行ったのはザクロスの鎧を身に着けた男が率いる黒鎧の軍団。その軍団にはどんな武器も通用しないという。

 「スローズに使者を・・ミズールに集結するのが得策だと伝えて。」

 防戦に努めるブロウの元にレーネ、ローグと次々に到着し戦況は一変した。プリンツの兵は追いまくられ、あちこちでミズールの兵の凱歌が上がった。

 三日後、スローズもドボーグの全員を連れてミズールに合流した。これでミズールにいる兵士は五百を超え、住民は三千人近くになった。

 住む所と防御壁の構築。それが当面の目的となる。だが、時はそれを悠長に待ってはくれなかった。

 未完成の防壁の前に現れたのは二つの軍。一つはプリンツ、もう一つはガリヤ。ここにミズールの争奪戦が始まった。


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