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9.訪問者

今日は珍しく2回行動


 久しぶりにのんびりと過ごしていたハロルドの元をアシェルが訪ねてきた。

 珍しいな、と思いながらお茶を出すと、「ごめんねぇ」と眉を下げた。



「今日はハロルドくんにお願いがあってきました」



 祖父母も同席している。冒険者ギルドからのお願いなんて危ないことじゃないのだろうか。そんな考えが顔に出ているのか、「ハロルドくんを戦地に送り出すとかはこちらとしてはないので……」と彼は苦笑する。



「君には積極的に説明とかはしてなかったけどね、実は国から君の加護やらついている妖精たちのことは通達がされているんだ」



 アシェルの言葉に少しだけ苦い笑みを浮かべた。

 仕方のないことだと思うし、知らない方が心配をかける部分も出てくるだろう。祖父母の保護のために回されている人員もいるのであれば、領主の了承を得ていた方が話も進みやすい。



「うん、それで緊急事態が起こってね。できればその妖精たちの力を借りたいんだ」


「緊急事態?」



 不穏な言葉に眉間に皺を寄せる。それは避難が必要だということだろうか、などと考え込んでいると、アシェルが「王都に連絡を取りたくてさ」と告げた。確かに、彼女たちの力を使えば王都にいち早く情報を伝えることはできる。けれど、問題もある。



「彼女たちが転移させることができるのは日に一度。往復はできませんし、三人揃っていないとその魔法自体が難しい。……俺も一緒に行くべきかな」


「返事要らないのならポンって送るだけ送っちゃうけど」


「ボクたち、ハルから離れない」


「ウチら、ハル以外どぉでもいい〜」



 リリィはそんなことを言った後に思い出したように「でも、アーロンのご飯は美味しいから助けてあげてもいいかもぉ」なんて付け足した。元々が気まぐれな妖精たちだ。少しだけでも手伝ってくれるのならマシだと思ったらしいアシェルは「片道で送り飛ばすだけでいいよ」と返してきた。



「場合によっては避難してもらうかもしれないけど、今はそこまでの状態じゃないし一人向こうに送れればなんとかなるから」



 アシェルの言葉にとりあえずは安心したらしい祖父母は、次に妖精たちの姿を目で追っていた。ユイは「あらあら、可愛い子たちねぇ」とのんびりとしている。満更でもない顔でローズが「そうでしょ!?」と胸を張っている。



「それじゃあ、悪いんだけど手伝ってもらえる?」



 ハロルドの言葉に嬉しそうに「任せて!」という妖精たち。実は三人がいなくなるならば自分も同行するという言葉がすごく嬉しかった。

 なぜか機嫌の良い妖精たちを不思議に思いながらも、ハロルドは双子であるというギルド職員の片割れを送り届けた。



「ハル、アタシたち頑張ったわよねー?」


「ご褒美」


「ねぇ、いいでしょぉ〜?ハル〜」



 送り届けたあとすかさずおねだりをしてくる妖精たちに苦笑して「わかったよ。何が良いの?」と問いかけた。

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