28.扉の先
ハロルドが部屋から出ると、すでにアーロンとロナルドは出てきていたようで、かなり距離を空けて待っていた。
「……何その猫」
「なんか、課題?みたいなのが終わった後、肩の上に乗ってきたんだ」
あまりにも気持ちよさそうに喉を鳴らす謎の白猫。もしかしたら、この先の何かにこの猫の力が必要になるのかもしれないと思って、そのまま連れてきたのである。
スノウはその猫を見ながら「そいつ、猫被ってるぞ」と言った。
「それ、精霊の類だよ」
「へぇ……。確かに、ブランは人型だけど、セレナは人魚型だったし、精霊の姿にもいろんなものがあるのかもね」
改めて鑑定してみると確かに大地の精霊であるという結果が出た。名前はまだない。
妙に自分に懐いているのは、大地と豊穣の女神フォルテの神子であるからだろうとハロルドは判断した。
実際には、ハロルドがあの土で穀物を育て、虫の魔物を払い除ける姿が自身が従うにふさわしいと思ってついてきただけなのだが。
「可愛いなぁ……アーロンのところにはいなかったの?」
「隼がいた。俺のところはなんか的当てみたいな感じだったな」
「はぁ!?なんでお前ら無傷なのかと思ってたらそんな楽なことやってやがったのか!こっちは鰐のデケェ魔物と戦わされていたんだぞ」
ロナルドはそう文句を言うが、ハロルドも戦っていたので、喧嘩するほど元気ではない。
「ハルんとこはどうだった?」
ロナルドを無視したアーロンの問いに、ハロルドよりも先にキレた妖精たちが話だした。
謎の農業セットと育ち切った時に現れる虫の魔物の話が出ると、アーロンは何かを察したようにハロルドの顔を見た。
彼は、ハロルドの、自身の作物を狙う存在への憎悪を知っていた。主にスカークロウとかいう魔物のせいで。クック類もかなり嫌いだが、ハロルドのこの様子を見ると、本当に機嫌が悪い。本当に、彼が嫌うような出来事があったのだろうと想像がつく。
「それで、俺たちが出てきて何か変わったところはある?」
「そこの道が出てきたくらいだ」
ロナルドが腕を組んだまま、首を動かして先に続く道を示す。
ハロルドは眉間に皺を寄せて「厄介だな」と呟いた。
「あそこで分断されたせいで、続く先に何があるのかわからない」
そう言った彼の言葉に答えるように腕の中の猫は一声鳴いて、自分から地に降りた。
そして、着いてこい、とでも言うように歩き出したのである。




