18.想定外の厄介事
ロナルドを含めた全員が「厄介なことになった」と思いながら、地図で場所の確認を行い、一緒に行く者の人選をしなければならないということでその場は解散となった。
「めんどくさいことになったな……。ハロルドだけ連れていけばさっさと終わるっつーのに」
「俺を巻き込まないでよ……」
ハロルドとして「そういうところだぞ、フォルツァート」という気持ちである。このように他者を気軽に巻き込むところを見ると、フォルテに嫌われる理由が理解できるというものだ。それでも、まだ彼は「人と世界を愛している神」であるだけマシなのかもしれない。
「なんでフォルツァートという神は、他の神の神子を巻き込もうとするんだ?普通に考えれば、聖女をちゃんと担ぎ上げた方が後のためになると思うんだけど……」
アーロンの疑問はもっともだ。以前、ミハイルと幸運の女神トゥーナのためにダンジョンを踏破した時も、「マリエはまだ少し力が足りない」と神はハロルドのところに問題を持ってきた。あれも、本来ならばトゥーナの父であるフォルツァートの加護を持つ勇者ロナルドか聖女マリエが動く方が正当であった、とアーロンは今でも考えている。
「その割には蛮族勇者の強化はしたがっている、と。わがままな神だな」
「神は割とわがままだよ」
「おい。いい加減にぶん殴るぞクソガキ」
拳を握るロナルドをガン無視するアーロンを見ながら、ハロルドは苦笑した。そう言いたい気持ちはかなり理解できる。
そして、彼の言っていることはハロルドもそう思うことだ。
「自分の加護を持つ子には苦労をしてほしくない、とか考えているのかもね。フォルテ様が俺に対してそう願うように」
「それはそれで無責任じゃないか?」
「……そうだな。それに、苦労を避けて通るなら、俺はいつになっても勇者だと認められねぇ。あのオッサンにはちょっとばかし文句を言っておかねぇとな」
ロナルドにまでそう言われるフォルツァート。
「一応、庇っておくと、あのオッサンは人間もこの世界も好きで、守りたいとは思ってんだよな」
深々と溜息を吐いてから、ロナルドはそう言った。
ハロルドとアーロンからすれば、だからといって巻き込まれるのは違うのでは?としか思えない。
「加護を与えた存在にクソ甘いだけで」
「それが一番迷惑なんだけど」
「おまえに加護を与えているフォルテだってクソ甘いって聞いてるけど」
「そもそも、それがフォルツァート神案件の面倒に巻き込まれがちだからだよ」
ハロルドはそう返すものの、ロナルドはジト目をしている。
そう。フォルツァート視点でのフォルテも若干「やり過ぎ」だった。
フォルテだけではない。アルスなどもなかなか強い力をハロルドに与えている。神からの好意など力になるに決まっているのに、惜しげもなくそれを与えている。
フォルツァートもまた「おまえたちがそれを言うのか?」と思っていた。なお、妻たちからは「貴方が余計なことをなさらなかったらこうはなっていなかったと思いますよ」と言うようなことを言われて少し凹んだ。
「……エリザも連れて、隠居できないかなぁ」
色々と、面倒になってきたハロルドだった。
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
フォルツァートくんの面白いのは、加護を受けている人間にも「厄介な事言いやがって」って言われとるとこかもしれない。
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