16.強制報告会2
アンリの前に連れて行かれたロナルドはなんとも言えない顔をしていた。
「なんでそんな顔してるんだ?」
「なんつーか、妙にこう、近づきたくない気配がする」
本当に居心地悪そうなロナルドを見た二人は「珍しいこともあるものだ」と思った。
何も考えずに暴れ回っていると思っていたロナルドにも「苦手」という感覚はあるらしい。元々、アンネリーズたちにも粉をかけていたと聞くし、「どこまで怖いもの知らずなんだ?」と思われていた。
「何の話をしているんだい?」
「何もない、です」
アンリの問いに対し、つっかえながらも敬語で返すロナルドにその場にいたアンリ以外の全員が固まった。
総員、「おまえ、敬語なんて使えたのか!?」の気持ちである。あまりにも酷い感想である。
「それならば、いいのだが……。まずは、神託についてお話しいただけるだろうか?」
そう言われたロナルドは渋々といった表情で話し始めた。
フォルツァートが神託を下ろしたのは旅が始まってすぐの頃。
ちなみに内容は花香とは全く関係がない。
「俺もその国に関してはセルピナっつー神が身勝手にハロルドを巻き込んだ、みたいなことを昨日あたりに少し聞いたくらいだ」
確かにセルピナもかなり身勝手だが、フォルツァートがそう言っていたと聞くとその場にいる全員が「おまえが言うな」の気持ちになってしまうのはどうしてだろうか。普段の行いのせいだろう。
フォルツァートはこの近辺に自分の神殿が封印されていることを知っていた。
「なんでも、各地で封印されている神殿を解放していくことで、魔王問題を解決できるだけの力を得ることができるらしい」
「……だとすれば、聖女マリエも連れてくるように言われたのではないか?」
「いや、なんかよくわからねぇけど今回は必要ないんだってよ」
そう言ったロナルドの目線の先がハロルドであったことをアンリは見逃さなかった。
(これは……フォルツァートがハロルドを利用しようとしているということか?)
確かに、ハロルドは一人で大抵のことは解決できるだけの能力を持つ。しかしそれは、彼を不憫に思った神などの助けがあってのことである。少なくとも、フォルツァートの加護持ちを助けるためではないだろう。
そのため、ロナルドの助けばかりをさせていてはハロルドに加護を与えている神々が怒る可能性は高い。特に大地と豊穣の女神フォルテはフォルツァートを嫌っているという。嫌っている存在が自分の愛する神子を利用しているとなれば、どんなことを言ってくるかわかったものではない。
アンリは少年たちに加護を与える神々のことを考えて、少し頭が痛くなってきた。
「ハロルドは何か聞いているかい?」
「いえ、今回の件は何も。そもそも、フォルテ様はフォルツァート様のことが嫌いなので協力しろとは言わないと思います」
「そんなに仲悪いのかよ?」
ロナルドは怪訝そうな顔をしている。
ロナルド以外のメンバーはそっと彼から目を逸らした。
そう、フォルツァートは自分がフォルテに嫌われているという自覚が、あまりなかった。
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
セルピナ「お、おまえが!僕を身勝手だって言うのかい!?!?」
フォルテ「どっちもどっちよ」
それはそう
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