10.友情からの手助け
アーロンとロナルドが定期的に喧嘩をしそうになることを除けば、順調である。
かつては医神アルス、エリザベータ、アイマンとともに訪れたオアシスに辿り着いたハロルドはホッとするのと同時に胃のあたりをさすった。
(初めから合わないとは思っていたけど……)
友人と幼馴染は、本当に、何かある度にハロルドを挟んで睨み合っている。
ハロルド自身もロナルドのことは嫌いだが、昔からそれなりに被害に遭っていたハロルドよりもアーロンの方がバチバチやっているのを見ると、冷静になる。
アーロンとしては、ハロルドから話を聞くだけでも腹の立つ相手だったのに、話をすればその百倍腹立たしい物言いの相手だったので「仕方ねぇだろ」という感覚であった。
彼は「ハルのやつから聞いたこと、多分だいぶマイルドに話してるな?」と思い始めていた。正解である。いくらハロルドでも、ちょっと言えないなと思うことは省いて話している。
「ハロルド」
「……ッ!?びっ……くりしたぁ。久しぶりだね、頼みを聞いてくれてありがとう。カラム」
ハロルドはいきなり声をかけられて驚いたが、その相手が見知った相手であることを確認すると安心したように笑顔になった。
カラムはハロルドの周囲にいる妖精たちを見ると、「何を食えばそんなに育つんだ」とボヤく。それを聞いたハロルドは苦笑した。彼らは、ハロルドの増えた加護などで影響を受けて、勝手に育っているのである。特にハロルドが何かしたわけではない。
「まぁ、力を増しているのは俺も同じだがな。おまえの寄越した水晶花は良いものだった。できればもう少し増やして欲しいものだが……」
「今回の件が片付けば暇ができると思うし、種があれば育てられると思うけど」
ハロルドの言葉を聞いたカラムはそれを聞いて「そうか。ならば、この一件が無事に終わったら正式に依頼しよう」と言った。植物を育てること自体が趣味のようなものなので、片手間でできることならばそんなに負担にもならない。何より、砂の妖精たちはせっせと贈り物をしてくれている。それを趣味のもので返せるならば願ってもないことだ。
(俺のところに砂漠の財宝とかがこっそり置いてあるんだもんな……)
初めは気のせいかと思っていたものも、砂金、金の延棒、謎の煌びやかなアクセサリー、超レアな植物の種などかなりいろんなものが増えており、ハロルドは「もっと俺の身の丈にあったささやかなものにしてくれないかな?」とお願いに行ったこともある。ちなみに効果はなかった。
砂の妖精たちはすっかりハロルドに懐いてしまった上に、王様公認である。「身の丈?じゃあもっとやっていいってこと!」とむしろやる気が増してしまった。それ以降、もう諦めて砂の妖精たちに向けた還元を頑張っている。それでも受けている利益が大きいのが現状だが。
「それに、今回の件で利益を得るのは俺たちも同じだ。本当に楽しみにしている」
カラムは本当に花香が滅ぶことを楽しみにしていた。
彼からすれば、自分の子どもたちも被害に遭っているのだ。むしろ、いつかそうしてやろうと思っていたことが現実になるのだから、内心かなりウキウキしている。
「これが、おまえが回収できればして欲しいと言っていたものだ」
カラムから手渡されたのは一つの大きな宝石。
それを手にしたハロルドは硬い声で「ありがとう」と返した。
「それでは俺はここで見守っている。……何かあれば名を呼べ」
「いつも助けてくれてありがとう」
ハロルドの心からの言葉に、カラムは笑って消えていった。
助けられているのはこちらもだ、と思いながら。
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
ちなみにティターニアもパワーアップ自体はちょっとだけしてる。
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続刊&コミカライズが決まりました!!
最新4巻は1月25日発売予定となります。
コミカライズに関しましては、情報解禁許可が出次第、またお知らせさせてください。
これも応援していただきました皆様のおかげです。引き続き、本作をよろしくお願いいたします。
『巻き込まれ転生者は不運なだけでは終われない 3』2025年7月25日に発売いたしました。
今回もRuki先生にハロルドたちを魅力的に描いていただいております。
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