4.勇者の探し人
ロイヤル恋愛事情は放っておくとして、ハロルド個人としては「ロナルドがいるので」とヴィクトリアに近くにいてもらえるよう頼んだ。
神様パワーだけでいえばハロルドの右に出るものはいないので、多少はマシだろうと判断してのことである。
(ロナルド・アンモライトは最近、可愛い、と言われるタイプの女性を好んでいると聞きますので、わたくしのところには来ないと思いますが)
ヴィクトリアはそう思いながらも、生徒たちの気遣い自体は嬉しかったため、従うことにした。
この場の誰もが想定外なことに、現在のロナルドは女装をしていた時のブライトが本当にド好みだったため、彼女 (?)を探しており、今までのような派手な遊びはしていなかった。あまりにも完璧な女装だったために、それが本当は男性である、などとはつゆほども考えていない。
ロナルドは正体を知らぬまま、『理想のヒロイン』をいまだに探しているのである。
「そういえば、薬とか新しく作り直してたけど、在庫結構あるって前に言ってなかったか?」
「ああ。大量の魔石と物物交換したんだ。だから、自分たち用の予備を改めて作り直す必要があったんだよ。陛下は普通にくれるって言ったんだけど……」
「まぁ……もらいにくいよな。税金から出てるものだし」
リチャードたちは「いや、おまえのおかげで出ている利益の方がかなり大きいから、むしろ無料で渡したいんだが」と説得しようとしていたが、ハロルドは「自分一人の成果でそこまで利益が出るわけがない」と言ってそういう対応になった。
ハロルドは少し嬉しそうにエドワードにもらった薬を鞄に詰める。アーロンももらったうちの半分を鞄に入れた。
「俺の作った薬は性能がめちゃくちゃだ、ってたまに言われるんだけど、これもルクスの力とか足せば同じようになるんじゃないかな」
「試しておくか?」
「やめなさい」
担任に嗜められた二人は素直に「はい」と同時に答えた。
ヴィクトリアは少しばかり頭が痛くなった。目の前の少年たちは、いつもこういうふうにして新しい薬剤を作っているのだろうと察したからである。とりあえずやってみる、で気軽にドデカい成果が出てきている。アンリの仕事が増えるわけである。
ハロルドの「光属性魔法で回復薬がパワーアップできる」という報告に魔法省や冒険者協会が湧いて、しばらくその研究で騒ぐ職員が増えたことが少しばかり懐かしい。
「好奇心が旺盛なのは悪いことではないけれど、今はやめておきなさい」
「わかりました」
「帰ってから試そうぜ」
「俺、ジェイド様から試しにって送られてきた肥料に魔力を加えた場合の差異とかも気になってて」
ハロルドは「果樹とかも気になってるんだよね」などと帰ってからの予定を立てている。
その様子が頼もしくもあり、心配でもあるヴィクトリアだった。
「あなた方は呑気といいますか……」
「まぁ、考えたって仕方ないことの方が多いので」
厄介な出来事に巻き込まれがちなので、ハロルドはそう思っていた。現実逃避の一面もある。
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
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コミカライズに関しましては、情報解禁許可が出次第、またお知らせさせてください。
これも応援していただきました皆様のおかげです。引き続き、本作をよろしくお願いいたします。
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今回もRuki先生にハロルドたちを魅力的に描いていただいております。
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