3.ややこしい気配
「ハロルドくん、アーロンくん」
二人は自分の名前に振り返ると、エドワードが手招きしていた。
それに応じるように側に行くと、金色の髪をきっちりまとめたシニヨンヘアーの女性がいた。見覚えがあるその女性の姿に、少し考え込んだハロルドは、該当する人物を思い出して「ヴィーちゃん先生……!?」と声を上げた。
「はい。よくわかりましたわね」
笑顔でぱちぱちと手を叩くヴィクトリアの姿に二人は唖然とした。そして、エドワードへと視線を移した。
「神の意思とはいえ、君たちの学ぶ環境を奪ってしまうのは申し訳ないと、秘密裏に教師を募集していたのです」
「ええ。わたくしもせっかくの優秀な生徒が、自分のせいでもないのに学ぶことに苦労させられていることに思うところあったので、応募してみたのです。有給も溜まっておりましたし」
「いや、これも仕事だろ!」
「そうです!普通につくっていう有給じゃなくて特別処置がいるやつです!!」
「あ。そこなのですね」
そこである。
危険な場所についてくる、というのはヴィクトリアの意志であり、二人の関与すべきところではないが、これが一応国からの依頼だというのであればボランティアなんてとんでもない話である。
「私もそう言ったのですが……」
「実は、このことですが、アンリ殿下には内緒のお忍びなのです」
「アンリ殿下には」
「内緒」
ハロルドとアーロンは視線を交わし、頷く。
ややこしい出来事の気配がする。
「求婚してきているくせに、こういう時は黙って出ていってしまうのがどうにも気に食わなくって」
((あ。本当にややこしいやつだ))
二人の意見が一つになった瞬間だった。
エドワードが疲れた顔になっている。
「私は一緒に向かうことはできませんが、君たちにはこれを」
「これは……」
「ハロルドくんが持っているので必要ないかもしれませんが、魔力回復薬を。それと身体回復薬も数本と守護呪符です」
こういった便利なものはいくつあっても良いものだ。
ハロルドとアーロンは受け取って、きっちりお礼を言った。
「帰ってきたらお礼しねぇとな」
「そうだね。いつもお世話になっているし」
いつもアンリと繋いでくれる優しいお兄さん、というのがエドワードに対する二人の共通認識だった。
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
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最新4巻は1月25日発売予定となります。
コミカライズに関しましては、情報解禁許可が出次第、またお知らせさせてください。
これも応援していただきました皆様のおかげです。引き続き、本作をよろしくお願いいたします。
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今回もRuki先生にハロルドたちを魅力的に描いていただいております。
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