1.お迎え準備
ハロルドは目の前に並ぶ騎士たちを見て溜息を吐いた。
こんなに大ごとにしたくなかった、というのが彼の本音である。
最初はカラムから渡されているジャンナガーデンの鍵を使って、自分とアイマンだけでショートカットして花香へ向かうつもりだった。しかし、それは大勢から「やめろ」と言われてしまった。
ハロルドは「自分の価値がわかっていない」と、ウィリアムを始め、数名からかなり真剣なお説教をされてしまったことを思い出して、無の表情になっている。
自分の価値ではない、とハロルドは思うものだけれど。
(実際、『俺の価値』ではなく、神々や精霊、妖精の価値が高いというだけの話だ)
少し顔がいいのは自分でも認めざるを得ないところだが、加護以外の価値なんてその程度のものであるとハロルド自身は考えていた。
「ハル、ウチが守ってあげるから安心していいわよぉ?」
「ボクたち、強いので」
「アタシだって、もうあんなヘマはしないから!」
気合い十分な妖精たちに「いつもありがとう」と返し、ハロルドは微笑んだ。
ルクスとルアはスノウの上に乗ってくつろいでいる。スノウも慣れているのか、それとも軽いから別にいい、と思っているのか無反応だ。
一応、戦争になる手前になっているというのに、男子組は呑気なものである。
「ハル。準備はできてんのか?」
「うん。問題なく。アーロンはどう?」
「俺も大丈夫だ。ただ、スノウが『おやつはそれだけか』ってかなりうるさくて」
「おやつって言った!?」
「言ってない。待て」
おやつというワードだけで立ち上がって近寄ってこようとするスノウに、アーロンは頭を抱える。世話のかかるわんこである。
尻尾をぶん回しているスノウに「こいつに比べたらルーチェはかなり神獣らしい気がする……」とボヤいた。
「そんなことないだろ!おれだったら、アーロンを拐われたりしねーもん」
「ハァ!?ルゥが悪いって言いたいのかしら!!」
「そんなこと言ってないだろ!」
「そうね、ごめんなさい……」
「おれの方が強いから神獣らしいって言いたいだけ」
「やっぱり喧嘩を売っているかしらァ!?」
アーロンの肩の上で跳ねるのは小鳥姿のルーチェである。本来の姿は美しいフェニックスであった彼女だが、現在はその面影を感じさせない。今は可愛らしさ全振りなのだが、それでも彼女の自認は美しいである。
そして、今は自身の強さにある程度の自信もあるため、二匹でキャンキャン言い合いをしている。間に立つアーロンはかなり嫌そうな顔をしていた。
「緊張感のない奴らね」
ローズの言葉に、ネモフィラとリリィが頷いた。
彼らの言い合いはアーロンに「そんなに騒ぐなら双方おやつ抜き!」と怒られるまで続いた。
一番強いのは、アーロンかもしれない。
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
ルクス「おやつで止まる神獣、ですか」
ルア「どっちもどっちだろ」
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これも応援していただきました皆様のおかげです。引き続き、本作をよろしくお願いいたします。
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