31.命の序列
話し合いを終えて、ハロルドとアーロンは帰って行った。
神たちの被害者でもあるハロルドが「責任は国にあるわけではない」と言っているから、命が繋がっている。
アンリたちはそう考えている。
神、精霊、妖精、神獣。
彼らが守るのは加護を持った者だけであり、対象は国ではない。
しかし、彼らに何かあって怒りを感じたならばその矛先は間違いなく国家に及ぶ。
だからこそ、優先させる命には序列がついてしまう。
「アンリ殿下。やはり、御身が戦場に向かう必要はないのではありませんか」
「私が行かないとなると、父上に行けということになるが……?」
「それは……」
「最初に言っただろう。我々の命は重さが違う。私が死んでもジョシュとルイがいるが、彼らの代わりはない」
アンリの言葉に、エドワードとダニエルは唇を噛んだ。
言っていることは、わかる。理由も、理解できる。
しかし、それを理解したくはない。
だって、あんまりではないか。
命を削るように、国のために働いてきた姿を見てきた側近の、友の二人はそう思ってしまう。
「まぁ、私に何かあるとも限らないだろう。さっさと勝って、無事に帰って来ればいいだけの話なのだから」
アンリが死ぬつもりで指揮を取るつもりがないことはわかっている。しかし、それでも。そう考えてしまうのは戦場が『何が起こるかわからない場所』であることを理解しているからだろう。
そんな二人を見たアンリは苦笑する。
(そこまで深刻になる必要もないだろうに)
心配性な友人たちの気遣いに感謝すると共に、焦がれた女性のことを思い出した。
(私がいなくなったら、彼女はどう思うだろうか。……案外、さっさと忘れてしまうかもしれないな)
何せ、一方通行の感情だ。
それでも、旅立つ前に会いたいと願ってしまう己の気持ちは恋故だろうか。
ゆっくりと首を横に振る。
(今会うのは『狡い』気がする)
どうせ会うならば、処理を終えて帰ってきてからの方がいい。
アンリはそう結論をつけて、立ち上がる。
やるべきことは、多いのだ。
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
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