24.迎え待ち
ブライトは呑気にあくびをしながら迎えを待っていた。
例によって、女帝はバチクソキレているらしい。他人事のように伝えられたそれは、実際他人事なのでブライトも「ふーん」くらいにしか思わない。ケリー自身も「まぁ、僕ってばそれなりに愛されてるからねぇ」と呑気だ。ぶっ殺されるのが自分でないことを心底理解しているようだった。大変タチが悪い。
「愛されてるだけ?」
「いやぁ、僕はその場にいるだけでお役立ちな卑怯アイテムなんだって。面白いよねぇ?」
「まぁ、それはそう」
ケリー笑顔一つで見張りの数が激減するのだ。それはもうお役立ちだろう。
それを実感しながらブライトはケリーへの差し入れである茶を口にする。
「あ。この味は媚薬だね。捨てた方がいいですよ」
「ねぇなんでわかるの。こわい」
なんでも何も、盛られたことがあるからである。
にこりと笑顔を見せるブライトに、ケリーは顔を引き攣らせた。そして、それはそれとして頼もしいとも思っている。
ケリーは息子と違ってかなり能天気だった。
「花香も物騒だね。それに、平民の僕からみてもあまりお行儀がいいように見えない」
「彼らが特にそう、という話ではあると思いますけど」
「はぁ……僕が陛下お気に入りの愛妾だなんて調べればすぐにわかることなのに」
それを言えば、ブライト・ベキリーが次期伯爵であり、第三王子ルートヴィヒの側近であることも調べればすぐにわかったことだ。それでもこうした行動に出るのだから、その浅はかさが透けて見えるというものだ。
(それにしても、ハロルドくんは他の神や妖精も巻き込んでどういったことをやろうとしているんだろう)
きっと彼の良心ギリギリで色々頑張っているのだろうとは想像できるが、それに自分が関与できないのは少しばかり残念だ。フィアンマ帝国が軍の編成をしているのは面白いが。
女帝とケリーの様子を見ていれば、そうなるだろうとは思ったが部下が止めてなお強硬に出陣すると言い張っているという。
「それにしても、本当に花香まで行くつもりかい?帰るのが面倒じゃないか?距離的に」
「んー……それは合流後に決めるよ。お迎えに誰がくるか楽しみだなー」
友人一同、国の重要人物なので彼らは来ないかもしれないが、来る人物によっては色々面白いことになりそうだ。
きっと、今回の件を盾に交渉ができる人物を出してくるだろう。
「この状況で楽しみだって言えるのは君くらいだよ。おっと、クッキーをくれるのかい?ありがとう」
ケリーがぱちんとウインクをすると、檻の外にいた女性が頰を染めた。
「はぁ……協力者を作るだけなら簡単なんだけどねぇ。どうあっても陛下に捕まっちゃうから本気で逃げるのってしんどいんだよね」
ケリーは「なんでだろうなぁ」と不思議そうにしていたが、ブライトにしてみればこれだけの危険人物を放置できるわけがないだろうと思ってしまう。
下手をすれば面倒なやつに担ぎ上げられて、知らず知らずのうちに将軍とかやっていそうだ。
(絶対、国から出さないように契約に盛り込んでもらうべきかもね)
ケリーと一緒にいると警戒レベルがガンガン上がっていくブライトだった。
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