23.砂の友
ハロルドの願い事を聞いたカラムは、彼自身が動いて『種』を蒔いていた。
ただ、この魔石を埋めるだけの作業になんの意味があるものだろうか、とは思うが。
(多分、セルピナが降臨する時に必要なんだろうな)
とはいえ、これだけの魔石を用意するのは骨が折れただろう。
ハロルドが魔法を使って遠隔で作業をできるカラムに今回のことを頼んだのは慧眼と言えるだろう。小さく無邪気な妖精たちならば、捕まってしまうかもしれない。
「しかし、もしこれで本当に滅びるならば面白いものだ。加護をやった甲斐があるというもの」
面白そうに、彼は笑う。
人はあまり、好きではない。しかし、その能力が役に立ちそうだからと友誼を結んだ。
初めはそれだけだったが、受けた恩以上のものを返してくるハロルドに興味を持ち、面白い男だと気に入り、今に至る。
今回の『対価』も本当に素晴らしいものだった。
まさか、カラムが気にいるような金色の水晶花を差し出してくるとは思わなかった。
おそらくは砂の妖精たちがせっせと貢いでいた種の中の一つだったのだろう。
しかし、これを育て切るにはかなりの手間がかかったはずだ。
そんなことを考えながら「くく」と笑い声を漏らす。
「人に、神に嫌気がさしているならば、やはり我が国で暮らすのもいいかもしれないぞ。ハロルド」
気に入っているからこそ手助けをしているが、気に入っているから、ここまで神に振り回されている子どもを不憫に思う。
(セルピナからすると、ハロルドはおそらく『子ども』ではないのだろう)
神によっては一部の存在を、赤子であろうと、子どもであろうと、そういう庇護すべき存在とは認めない。
セルピナにとってハロルドが『そう』なのであれば、きっと。
「『転生者』か。難儀な魂だ」
カラムにとってハロルドが転生者か、それ以外かなどあまり関係がない。
自分たちと仲良くできる人間がたまたまそうだっただけのこと。そもそも、ハロルドがそういった存在であってもせいぜい五十を超えているかどうかくらいのものだろう。
妖精であるカラムから見れば前世を合わせたところで大した年齢だとは思わない。
ただ、転生してまで苦労させられるのは哀れだと思うだけだ。
「おまえだから助けてやろうと思うんだ。……我らが友よ」
こうしてハロルドは自分の知らないところで、同情から新たなスキルを得ようとしていた。
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