20.拐われ組
ブライトが目を覚ますと、身体が揺れているような感覚があった。
目を覚ますと、目の前には端正な顔の男が縛られて転がされている。
(あ、ハロルドくんパパだ)
そんなことを考えながら腕を動かそうとすると、手錠が嵌められているようだ。
引きちぎろうとすると、魔力を押さえつけられるような感覚がある。
だが。
(うーん。これくらいだったら余裕で壊して出れるな)
耐久性も低そうだ。
この程度の魔道具で力を封じられると思われているのならば舐められたものだ。
しかし、ブライトは脱出するよりも自分がどこに連れていかれるかという方に興味があった。
(これで行き先が花香なら、一頻り暴れて、僕を昏倒させるほどの薬をもらって帰るのもありかもなぁ。ハロルドくんは興味持ちそうだし)
そんなことを考えながら大人しくしていると、目の前のケリーが目を覚ました。ウゴウゴしている様子が芋虫っぽくて少し面白い。
「ちょっと!なんでこんなに大人しくしてるんだい!?」
「まぁ、何やるつもりか見ていこうかなって」
「呑気!」
ピーチクパーチクと騒ぐ様子を見ながら「ハロルドくんとほんと似てないなぁ」とのんびり思う。こういう時、ハロルドならば黙って自分がどうするべきかを考えていただろう。そして、最終的に渋々一国を滅ぼすかもしれないがなるべくそうならないように悩み抜く。
ブライトにはそんな力はないが、この状況を踏まえるとちょっとやりたくなる。
「僕が帰らないと、陛下がめんどくさいぞ!」
「その相手をするのは僕ら以外でしょ」
「……それはそう」
ブライトは小さな声で「良い機会だし誰か引っ掛けて逃げちゃおっかなー」と呟くケリーを見ながらそれは無理だろうと思って可哀想なものを見るような目を向けた。
鈍いブライトでも、あの女帝がケリーに向ける執着心はわかる。なんか視線がドロっとしている。ちょっと怖いくらいだ。
(好かれる女の子のタイプは似てるのかも?)
親子の大変嫌な共通点である。
それにしても、かなり手段を選ばない様子には違和感もある。よほど国が危ないのか、それともよほどの馬鹿か。
(さて、オーガが出るか、ナーガが出るか)
そもそも、無事に花香にたどり着けるのか。
ブライトは小さな窓から見える空を見ながら、静かに考えを巡らせるのだった。
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
なんか騒ぎが起こってるから部下と見に行ったらこうなったケリー。
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これも応援していただきました皆様のおかげです。引き続き、本作をよろしくお願いいたします。
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今回もRuki先生にハロルドたちを魅力的に描いていただいております。
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