19.善意のストーカー2
ブライトは見られていることを感じつつ、警戒しながら帰路についていた。
最近、ずっとこういった視線を感じてかなり気持ち悪い。何かあっても、大抵のことは腕力で解決できる自信はあるものの、確実とまではいかない。
(さて、僕もどうするかな)
いい加減、鬱陶しい。
それに、自分はいいが、友人たちに害があると厄介だと眉を顰めた。
「ブライト、人が増えたかしら」
「もし何かあったら、わかるね?」
「……一緒にいたいかしら」
「ダメだよ」
ブライトはもし襲われた場合、それも手が出ない相手であった時は、ルーチェを逃して伝令に徹するよう話してあった。
ルーチェは嫌がっていたが、世の中には自分一人でどうにかできることばかりではないと、ブライトは理解している。
そうやって歩いていると、何かが投げ込まれた。咄嗟にそれを弾くと爆発して粉が舞う。
「行け!」
ブライトの声に反応して赤い小鳥が猛スピードで消えていく。
一方で、口を腕で覆ったブライトは注意深く周囲を見回す。すると、鋭い蹴りが飛んできて後退する。
煙が晴れてくると、ルーチェを襲った者たちと同じ衣装に身を包んだ男たちと、その後ろにはしばみ色の髪の少女が立っていた。
「逃げられてしまったぞ!」
「それはあなた方の不手際ではありませんか」
「今はいいだろう。契約者を捕らえれば、あの鳥は死ぬ気で取り戻しにくるはずだ」
そんな会話をする彼らをみながら、「余裕があるな」と内心だけで毒付く。
(これ、ただの粉だとは思えないな。吸い込まないのが吉……とはいえ、ずっとこのままで戦うのは流石の僕でも分が悪い)
特に裏路地を通ったわけでもないのに襲われるというのも、厄介な話だ。
ルーチェのために護衛がついたとは聞いたが、優秀な者はハロルドの方についている。さらに言えば、マーレ王国の襲撃で殉職者も出ていた。
今はダンビュライト家がフル稼働で支えてくれているものの、やはり優先は神の加護を得た存在と王族だ。
倒れている護衛を見るに、援軍がすぐによこされるということは期待できない。
どうすればよいか、頭を回転させていると少し離れたところで人が倒れた音がした。
(チッ……周辺に人がいたのか。そうなると、僕はどう動けばいいか。勘弁してよねー!?僕は暴れ回る担当で頭脳労働は苦手なんだからさぁ!!)
自分を見てなぜかうっとりとした顔をしている少女を見て苛立つ気持ちもあるが、それよりも問題解決をしなくてはならない。
向かってくる敵に向けて構えを取る。
(せめて、時間だけでも稼がないと)
粉を少し吸い込んだだけでも目眩がする。
(僕でそう感じるってことは、よほど強い薬……。やっぱりルーチェは逃しておいて正解だったな)
自分がどうなるかはわからないが、少しでも情報を残すべきだと判断したブライトは一歩踏み出す。
一方で、少女はそんなブライトの殺気を浴びながら興奮していた。
協力する代わりに、目の前の少年は最終的に自分がもらうことになっている。きっと、思う存分、自らの愛を受け入れてくれるだろう。そう考えるとゾクゾクが止まらない。
薬の効果で、もうすぐブライトは捕まえられるだろう。
しかし、彼女の思い通りになることはきっとない。
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
気づいたら500ページ超えててびっくりしました。
【お知らせ】
続刊&コミカライズが決まりました!!
ただいま4巻製作中です。
コミカライズに関しましては、情報解禁許可が出次第、またお知らせさせてください。
これも応援していただきました皆様のおかげです。引き続き、本作をよろしくお願いいたします。
『巻き込まれ転生者は不運なだけでは終われない 3』2025年7月25日に発売いたしました。
今回もRuki先生にハロルドたちを魅力的に描いていただいております。
書き下ろしもしておりますので、ぜひお楽しみいただけますと幸いです。
現在、1巻・2巻も好評発売中です。こちらもよろしくお願いいたします。
3巻店舗特典はこちら↓
OVERLAP STORE様
書き下ろしSSペーパー『太陽の恵み!』&イラストカード
全国の特約店様
書き下ろしSSペーパー『砂の妖精たちの贈り物』




