1.かつて共にいた、あの子
オーバーラップ様公式Xでも発表されましたが、コミカライズ化が決まりました。
引き続き頑張りますのでよろしくお願いいたします。
三人の妖精たちはコソコソと集まって、ヒソヒソと話し合う。
彼女たちは気がついていた。
この国にいるはずのない気配に。
「それでぇ……今更どーするぅ?」
「アタシ的には助けてあげたいかな」
「ウチは反対。何言ってもマナが心配って着いてったのはあの子だしねぇ」
「ボクはハルにそーだんすべしって思う」
ネモフィラの言葉には二人とも眉を顰める。
「ハルに言う必要はないんじゃない?助けられなかったら気に病むわよ」
「ウチらの友だちだけど、ハルの友だちじゃないわ。そこまで迷惑はかけらんないでしょ?」
「でもハル、どうせ巻き込まれる」
ネモフィラの言葉に、二人は言葉を詰まらせた。
確かに、彼女たちの友人はとても、すごく、かなり、厄介ごとに巻き込まれやすい。すでに自分たちが気付くくらいの近くにある厄介ごとだ。巻き込まれる可能性は高い。見ず知らずの海の妖精も助けてあげるようなお人好しが、何も知らないままに終わる可能性は低い。
「なんでハルってばあんなにいろんなことに巻き込まれるのかしら」
「雑魚女神のせいじゃない?」
「どっちかってゆーと、フォルツァート様の方が悪い」
そう、元凶となることを引き起こしているのはフォルツァートの方が多い。そもそも、過去の彼がもっとまともな人材を遣していれば解決していたであろう問題も多い。
「じゃあ、なんかあった時のために相談はする」
「助けは求めない方向でいきましょ?」
「さんせー」
「アタシは助けてあげたいけど」
「ウチらが捕まったらハル、ちょーキレながら助けに来るけどぉ……?」
「ちょっとときめく」
マーレ王国の件を思い出したのか、「そうね」と真顔で頷くローズとは正反対に、ネモフィラは珍しく笑顔で「ときめく」なんて口に出す。二人はそれにギョッとした。
「ボクたちは妖精にしては力がある方」
「それはまぁ、そうよねぇ?」
「守ってもらえると、ちょっと、きゅん」
進んで危ないことをするつもりがないものの、ローズを強い意志のもとで助けた姿を見ているのだ。彼が自分を助けてくれるという信頼がある。
いつも彼を守っているのは自分たちだという自覚はあるが、それはそれとして守ってもらえるときゅんとする。ネモフィラはそんなことを考えていた。
「危ないところに飛び込んじゃだめよ?」
「ちょっと心配になってきたかもぉ〜……」
「失礼。ボクは二人より無茶しない」
ムッとしながら彼女は「ハルの横、陣取っちゃお」と部屋にビュンと戻って行った。
いつものんびりしている彼女とは思えぬほど早かった。
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
【お知らせ】
続刊&コミカライズが決まりました!!
ただいま4巻製作中です。
コミカライズに関しましては、情報解禁許可が出次第、またお知らせさせてください。
これも応援していただきました皆様のおかげです。引き続き、本作をよろしくお願いいたします。
『巻き込まれ転生者は不運なだけでは終われない 3』2025年7月25日に発売いたしました。
今回もRuki先生にハロルドたちを魅力的に描いていただいております。
書き下ろしもしておりますので、ぜひお楽しみいただけますと幸いです。
現在、1巻・2巻も好評発売中です。こちらもよろしくお願いいたします。
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