表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
458/461

8. どこかで蠢くもの3



「よし」



 ケリーはパンパンと手を払うブライトを見ながら「よし、じゃないよ!?」と叫んだ。

 自身の周囲にも、ブライトの周囲にも鋭利な刃物が散らばっており、少し涙目だ。結界術のスキルを持っているとはいえ、迫ってくる刃物が怖いことには変わりがない。



「これの破片は全部回収して……」



 ブライトは破片を回収しつつ、窓を開けて「ハロルドくんたち呼んできてー!」と声をかけていた。外にいる暗部の人間は「了解ですー!」と返事する一方で、「逃げ足が早いな。追いつけただろうか」などと話していた。



「もう大丈夫!?刃物飛んで来ない!?」


「え。知らないけど」


「でも、君は結界解除してるじゃん!!」


「僕は攻撃に魔力を全力投入してなければ、刃物くらいで肌が傷ついたりしないから」



 ブライトの言葉を聞きながら、ケリーは「あの子の友達こわ……僕絶対に喧嘩したくない」と呟いた。そのまま結界もキープである。



「それにしても……昨日まで元気だったヤツが、こんなに急激にグッタリするものですか?」


「それはわかんないけども……陛下にもお伝えしないと……」



 まだ腰が抜けたままのケリーは「陛下が厳選した美形の世話役だったのになー」と唇を尖らせた。



「そういえば、なんでそっちの王様は美形を集めてるんですか?」


「カトル陛下はそこまで目立つほど美形集めに力を入れてないよ。もらえるものはもらってるけどね。先代はやっばい美形狂いだったし、美しいと評判の処女を集めて、殺したその血で風呂とか入ってたからキモかったけど」



 思ったより嫌な話になって、ブライトはドン引きした。

 そして、処女限定ならばハロルドの母親であった女は受け入れられなかっただろうなと納得もした。



「男は新品じゃなくても良かったみたいで助かったよ。女でなかったのも当時は幸いだったね。そうでないと、僕も危なかったかもしれないし」



 ようやく恐怖も薄れてきたのか、のんびりとそう言うケリーは立ち上がった。

 ゆっくりと伸びをすると「さて」と腕を組む。



「僕はあんまりこういうの興味ないんだけどさぁ……陛下はこういう国を馬鹿にする行為大嫌いなんだよね」



 そして、低い声で「わかっているな?」と言うと、いくつかの気配が散っていった。



「この件については後で各国の責任者とも協議しなくては。自国の警備は自国で、という取り決めであったから警備の問題はうちのせいだ。でも……喧嘩を売られたなら高値で買わなくっちゃ」



 ケリーの意外な行動にブライトは顔を引き攣らせる。

 どうしてだろうか。彼もまた敵に回してはいけないタイプの人間である気がした。先ほどまで、明らかに暴力に震えていたというのに。



「証拠探しから、ですね」


「そうだね。あの国ほんとすっとぼけるの上手いから、僕嫌いなんだよね。陛下があそこを焦土にしたいっていう気持ちだけはわかるよ」



 本当に忌々しげに、ケリーがそう言うと、フェニックスが頭を上げた。

いつも読んで頂き、ありがとうございます。


N)6月15日


【お知らせ】

『巻き込まれ転生者は不運なだけでは終われない 3』が2025年7月25日に発売となります。

これも応援していただきました皆様のおかげです。

今回もRuki先生にハロルドたちを魅力的に描いていただいております。

書き下ろしもしておりますので、ぜひお楽しみいただけますと幸いです。

ご予約等何卒よろしくお願いいたします。


現在、1巻・2巻も好評発売中です。こちらもよろしくお願いいたします。

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ここ、話が飛んでませんか? 前の話では檻をぶん殴るところで終わってたのに、この話は刃物が散らばってるところから始まってます。 檻がぶっ壊れる→刺客が刃物を投げてくる、みたいな話が挟まっていたのではない…
困ったら最終手段神様召喚で焼け野原になるだけだからな また一つ国は亡びるか
パパ突然の有能ブーム。考えてみれば度重なる脱走未遂の末に始末されてないなら使える奴な可能性はあるのかー ブライトがパパに敬語使うと思わなかった。良い子。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ