26.繋がりある国
「次にくるライトノベル大賞2024」の本投票が行われています。
『巻き込まれ転生者は不運なだけでは終われない』も皆様の応援のおかげで、ノミネートされております。
ぜひこちらの作品の投票をお願いいたします!ノミネートNo.126になります。
投票はこちらから!
→ tsugirano.jp
〆12月5日(木)17時59分までです。
どうぞよろしくお願いします。
お知らせも下にあります。
トルマリン子爵領とハロルドの領地の境で、正気を失った男たちを捕らえたと聞いてハロルドは頭を抱えた。
やり口に、大変、覚えがあった。
「とはいえ、お手柄ではあるのか?」
その男たちはフィアンマ帝国との繋がりを吐いた。無理やり吐かせた、が正解かもしれない。とにかく、リリィがクスクスと笑う声に怯えて全部吐き出した。
「だから命だけは!」などと叫んでいたが、やっていたことを考えても己の命で贖うことになる可能性は高い。
「フィアンマ帝国っていうと……美形を片っ端から買い集めてるっていう謎国家だっけ?」
「確かに皇帝の趣味はそれだが、その本質は軍事国家という方が正しいよ」
「ドワーフ族や亜人など多くの人種が入り混じった多文化の国です。兵器の開発や攻撃魔法の開発に力を入れており、魔王と呼ばれる現象が国内に発生していることから、他国より強大な魔物も多く棲息しています」
アイマンの後にミハイルの補足が入る。それを聞いたハロルドは、「魔王、ね」と少し考え込むような仕草を見せた。
ハロルドはあまり『魔王』に関して詳しくはない。フォルテは「倒せ」「解決しろ」なんて一言も口にしてはいないし、マリエから詳細を聞いたこともない。
それに感情や理性はなく、災害級の魔物であり、人類は約三十年もの間、それを倒すことがかなわなかったということを知識として知るのみだ。数百年に一度の周期で自然に発生するヤバいモノらしいが、勇者でも何でもないからと考えることを避けていた。
「魔王は知恵がないために各国協力の下抑え込めているが、フィアンマ以外に発生していたらどんな結果になっていたか」
「まぁ、それは人身売買を行っていい理由にはなりませんが」
ミハイルは自分がハロルドに拾われなかった時にどうなっていたかを考えると、最終的に行き着く先の候補の一つだっただけに本当に嫌そうな顔をした。
「そういえば、あの国は何で美形を集めてるんだろう」
「皇帝の趣味だ」
「趣味、かぁ……」
ドン引きしているハロルドにアイマンは苦笑する。なお、彼は「妾のものにするにはガタイが良すぎる」と見逃してもらったことがある。そして元義姉は「性格が悪すぎる。顔に出ておるわ」とスルーされていた。
女帝の趣味で集められた美しい者たちがどうしているかは知る由もないが、積極的に行きたいとは思えない。
「集められた者の中で彼女に献上されるのは一部だ。美しかろうが女帝に相応しくないと断じられれば、次はフィアンマ帝国内の別の貴族に、そこでも買い手が見つからなければ……あまり良い未来が待っているとは言えない」
「逃したりはしないか」
「法を犯してまで利益を得ようとする人間が、そんな勿体無いことをするわけがないだろう?」
ハロルドは溜息を吐きながら、「やっぱり関わりたくないなぁ」とボヤいた。




