表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

401/499

21.今後のために



 少しは可愛らしさも重視したらしい新型の見守りバットくん。

 丸いフォルムとそれに合わせた愛らしい目は今までのものに比べると『気持ち悪い』感じはない。



(とはいえ、見られたくない部分を隠せるようにはしたけど)



 前と同じように風呂、トイレ、寝る前の自室や隠しておきたいものなどには結界を張ったり、映像を妨害するような魔道具を設置することにする。

 婚約者だからと全部を見せたいとは思わないし、全てを暴きたいとも思わない。

 性格がこんなに違うのに、案外うまくいっているのはどうしてだろうか。ハロルドは少しだけそんなことを考える。共に旅をした経験で付き合い方に慣れていたからかもしれない。



「ハル、侵入者」


「大丈夫だよ。……もう動いているみたいだから」



 ネモフィラの声に周囲の気配を探って、返事をする。

 これは特にハロルドを狙ってのことではないだろう。こんな場所にわざわざ足を踏み入れるなんて、相手も運がない。



「悪い人間なのだろう?俺たちで消しても構わないが」


「だからこそ彼らに任せるべきだよ。……あまり手を出しすぎるべきじゃない」



 働いてもらってこそ、天秤がどう傾くかわかるというものだ。



「難しいね、色々」


「何にも考えず、ブッ飛ばしてもいいんじゃなぁい?ハルなら何やっても許されるだろうしぃ」


「許されるからこそ、やるべきじゃないんだ」



 ハロルドの言葉に訳がわからないという顔をする妖精たち。

 ハロルド自身はやはり基本的に、ちゃんと周囲に仕事を振っていく方向性で考えていた。誰も信用も信頼もせず、自分だけを守るのは難しいことではない。だが、それではいけないのでは、と考える。



(今後、俺が離れている時にもきちんと機能する体制でないといけない)



 大切なものが増えたからこそ、そう思う。それに、今後現れる加護持ちだって、まともな人間がいるかもしれない。実際、マリエだってまともでないフォルツァートの信者に召喚されたせいで問題を起こしたが、彼女自身は比較的良心的だと言えるだろう。初めから守られていれば、そもそも問題も起こさなかった可能性は高い。近年の聖女とされた人間の悪行がなければ、恐ろしい思いもしなかっただろう。そう考えると不憫ですらある。

 守られるべき人間が現れた際には、きちんと守られるべきだとハロルドは思う。



(それはこの世界の人間かもしれないし、俺みたいな転生者かもしれない。マリエさんみたいに召喚されてやってくる人かもしれない)



 ハロルドが考えるべきことではないかもしれない。けれど、できるだけ今後の『誰か』が普通の人であるなら、守られるべきだと思う。



「君たちは俺のそばにいて。その方が、俺も安心して眠ることができる」



 その言葉に、渋々というように頷く妖精たち。

 そんな彼らに、ハロルドは微笑んだ。

いつも読んでいただき、ありがとうございます。


「次にくるライトノベル大賞2024」の本投票が始まりました!

拙作、『巻き込まれ転生者は不運なだけでは終われない』も皆様の応援のおかげで、ノミネートされております。

ぜひこちらの作品の投票をお願いいたします!ノミネートNo.126になります。

投票はこちらから!

→ tsugirano.jp

〆12月5日(木)17時59分までです。

どうぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ