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【書籍化】巻き込まれ転生者は不運なだけでは終われない【5巻制作・コミカライズ化決定!】  作者: 雪菊
10章

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4.悲惨な光景



 馬車から見る景色がうんざりするばかりのものとなってきた。

 ハロルドの表情は変わらないけれど、ルートヴィヒが見てもあんまりな光景だ。きっと心を痛めているだろうことは想像がついた。


 漂うのは腐臭。

 綺麗なのは一部だけで、少し栄えたところを過ぎると死んでいる人間が転がり、スカークロウが嬉しそうに空を飛ぶ。



「……酷い光景だな」


「見ない方がいいんじゃないか」


「……助けられないしね」



 治める人間が悪いと、こうも人は容易く死ぬのか。

 ハロルドはそんな思いでカーテンを引いた。胃のあたりが重いのは見捨てるような形になって気分が悪いのもあるだろう。ヴァイパーの部下の中にも蔑む目をする人と、唇を噛んで堪える人がいる。全員が民を疎かにしているわけではないようだ。

 それでも、その手は死した人間には届かない。今、ユール熱に苦しんでいる人々にも届かない。



(随分と薬草を買い漁っていたと聞いているのに、この光景か)



 胸がザワザワする感覚があった。同時に、軋む身体を気にしないと言うように表情をキープする。今のハロルドには気づかれてはならないことが多い。



「雪が一年、大地を覆い、作物は育たず疫病が蔓延している。国自体は自業自得とはいえ民には罪がないのだがな」


「でもこんな状況でもないと、エーデルシュタインの方が暖かく、豊かだと思い込んでいる彼らが攻め込んできていたんでしょ?」



 ハロルドの問いにルートヴィヒが頷いた。

 そして彼も考え込む。一国の王子と神に愛された神子を攫ったのだ。なのに、どうしてこうも得意気なのか。



(フォルテ様は頼めば確実に国が立ち行かなくなるレベルの神罰を落とす。余裕がある態度にはまだ何かあるのか?)



 それとも、すでに神罰を受けているから平気だなんて考えているのだろうか。

 だとすれば甘いと言わざるを得ない。神が何かをせずとも、二人を攫ったのだ。必ず戦争になるに決まっている。ルートヴィヒもハロルドも、神の力で守られるだろう。

 それでは、マーレ王国の人間は?

 おそらく無事では済まないだろう。


 ルートヴィヒがそんなことに考えを巡らせている頃、ハロルドはじっとカーテンの先を見つめていた。



(進捗は……ブラン、仕事が早くて助かるな)



 勝負は城の中に入ってからになるかもしれない。

 笑みも浮かべず、感情の読めない表情のまま、ハロルドは胸に手を当てた。

いつも読んで頂き、ありがとうございます。

書籍から来ていただいてる方もいるようで大変嬉しく思います!


この国、疫病流行ってるんだよなぁ(白目)



6月25日に書籍1巻発売しました!

感想とかいただけると嬉しいです!!

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― 新着の感想 ―
[一言] 疫病が流行っているなら、ハロルドを助けに来る人達も 感染ってしまうのでは?
[良い点] タイトルからどうしようもないけどいい加減楽しい話が見たいです。
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