28.祈りの後
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前回のまとめ!:フォルテちゃん、テンションぶち上がってうっかりちゃん発揮する
後に残ったのは大きな歓声と、感動のあまり涙ぐむ観衆だった。
明らかにテンション爆上げの声が聞こえていたハロルドは俯いて額に手を当てていた。ルートヴィヒは静かに手を振っている。
まだ二人の耳には「どこに飾ろうかしら!」なんていうウッキウキ女神の声が聞こえている。妙なところがポンコツである。
(長い目で見れば、あれがここに残るよりは……)
無理矢理ポジティブに考えようとするが、チュドーンと聳え立った光の柱はまだ消えていない。フォルテはおそらく、自分がやったことにも気づいていない。
「下がるぞ」
ルートヴィヒに手を引かれて、そそくさと聖堂を去ると、その背中に大きな拍手が送られた。ハロルドは心の底から「やめてくれないかな!」と思ったが、ここでそんなことを言っても仕方がない。さっさと退散した。
「あの絵、素晴らしかったな」
「二度と俺の絵を発表しないように釘を刺しておかないと……」
ブライトが「チェック入れなくて平気?」と言ってくれた時に観に行くべきだったと心の底から後悔する。あそこで確認していたらフォルテもあんなにはっちゃけなかった。過去の自分を殴りたい。
「まぁ、これで我々の仕事も終わりだ。奥に行って着替えてから食事でもしよう」
「そうだね」
起こってしまったことは仕方がない。気を取り直して、ルートヴィヒと共に歩き出した時だった。目の前で姿隠しができなくなったローズが空中から落ちる。
ハロルドは地面に落ちるギリギリで彼女を受け止めると、ルートヴィヒが何かに気がついたのか儀礼用の短剣を引き抜いてそれを中心に結界を張る。それと同時に暗器が二人に向けて飛んできた。
「おや、もう一人……出来損ないの王子様までいらしたのですか」
カタリ、天井の一部が開くと数名の神官であろう遺体が落ちてくる。それに大きく目を見開くとスルリと男が一人、降りてきた。
「お、まえ……!あの、ときのッ……!」
ローズの絞り出すような声を嘲笑うように男は「そうなってはただの羽虫だな」と口にする。その怒りに魔法を放とうとするネモフィラとリリィに「その羽虫がどうなっても構わないと?」と投げかけた。
「お前……」
「我々が望むのはお優しい神子殿だ。羽虫を置いて我々の元に来るのであれば、その呪い、解いてやらなくもない」
「ハル、本当に解くかどうかわからないぞ」
「わかってる」
臨戦態勢を崩さない彼らに首を傾げて、「それならば、聖堂を崩しましょうか」と楽しげに口角を上げた。
「大勢集まっておりましたからね。きっと、楽しい時間になりますよ」
こんなことが起こっても、誰も助けに来ていない。そのことで、周囲の神官たちは文字通り排除されていることを察した二人は眉間に皺を寄せる。
「出来損ないの王子様、の結界すら破れないというのによく回る口だな」
ルートヴィヒが煽るようにそう言うと、男は不快そうに彼を見つめた。




