26.去年の店
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ハロルドは去年祖父母に贈る品を購入した店を探していた。今年はどんなものがあるのだろうとワクワクしながら見渡すと、存在感がやけに薄い店があった。
そこに足を踏み入れると「来たか」という無愛想な声がした。
「こんにちは。今年も見せていただいて構いませんか?」
「勝手にしろ」
それを了承と受け取って、並んだ商品を見ていく。
「うわ、フレイムディアーの毛皮がこんなに安いってマジ?」
アーロンの顔が引き攣っているが、店主はやはり「斧で一振りだった」と言った。それは彼の技量が非常に優れているだけで、あのブライトさえも恐怖を覚えていたと知っているアーロンは「強いんだな、おじさん」と素直に感心していた。
「今年は群れで狩れた。加工品をいくつか並べている」
確かに暖かそうな防寒具が並んでいる。アーロンは母親と妹用に真剣な目で吟味し始めた。
ハロルドはそんな中、錆びた剣を興味深そうに見ていた。
(よくわからない黒塗りの材質……何かに使えるか?)
現段階の魔眼では何で作られたものかもわからない品。値段も明らかに使えないものだからか高くない。興味本位で購入を決めて、次に揃いのブレスレットを手に取った。
「ハル、ブランのおすすめ品どう思う!?」
「サイズ的にグレンの?俺たちもそうだったけど、すぐに大きくなるんだからもう少し上のサイズにした方がいいと思う。品自体はいいものだよ。じいちゃんが喜んでた」
ハロルドの返答に納得しつつも「あの物騒クソリス共がこんなものに化けるとは……」とアーロンはボヤく。大量のリッパースクワロルに襲われた経験があるだけに複雑である。
ハロルドは錬金術に使うものやこの辺りでは珍しい植物の種、アーロンは新しい防具や解体用のナイフなどを購入して店を出た。
「……来年も来よう。あまりにも良すぎる」
アーロンがそう言うのを聞いて、ハロルドも頷いた。彼が去年思ったことである。
「そういや、おじさん最後にまたな、って言ってたな」
「そういえば……近日中にまたこの辺りに来る用事とかあるのかな?」
二人は揃って首を傾げた。




