15.領地からお手紙ついた
アシェルからの手紙には豊穣祭の時期に王都に行く、という件とハロルドが上乗せした報酬によって冒険者が集まって討伐が進んでいる件について書いてあった。
「ただ、他の地域の領主が余計なことをするなって言ってきてる……ね。あとなんか領民増えてない?」
ハロルドは「他のところもやればいいのに」と思ったが、すぐに他の領地に金があるかどうかにもよるかと考えを改めた。しかし、こればかりはよその領地による何らかの政策が別に必要だというだけのことだろう。ハロルドが使える手段が金だっただけだ。
領民の数の推移については本当によくわからない。まだ文字通り何もないところになぜ移住してきているのだろうか。
ハロルドは真面目に訝しんでいた。
「まぁ、特に困ったことは起きてないと」
だったら別に気にすることはないだろう。だったら、しばらく自分は豊穣祭に集中しても問題ないなと判断した。
「よし、じゃあ授業の振り返りでもするか」
手紙を片付けて教科書を開く姿は普通の学生だった。
本人は何もしていないつもりだが、安全になった領地には人が集まり、農耕に補助が出て、立派な孤児院を運営する領主はありがたいと思われていた。
インフラ整備のためにも金を惜しまず、かつて以上の繁栄を予感させていた。
ハロルド目線では「別に新しい何かを作ってる訳でもないし……」と食や内政のチートをやっているわけではないため、不思議におもっている。だが、やってあったら嬉しいことを堅実にやり続けるというのは存外大変なのだ。
例え、お金があるからやるか、くらいの気持ちであっても領民のためになっている。それが大切なところだった。
「ハル、ごめん。ちょっと意見聞きたいところがあるんだけど」
アーロンが課題片手にハロルドの部屋を開ける。後ろから「ノックぐらいしなよ!」というペーターの声がした。
「どこ?」
「ハロルド、コイツに甘くない!?」
「君にも十分甘いと思うんだけど」
プンスカしていたペーターが一気に「確かに!」という顔に変わった。
ルアがその上であくびをしている。
友人と暮らす家は、やはり平和だった。




