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【書籍化】巻き込まれ転生者は不運なだけでは終われない【5巻9月20日発売】  作者: 雪菊
9章

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3.やること山積み



 ハロルドは面倒ではあったが、ここまで信仰を高めたのは自分であると言われては仕方がないので、催し物はやることにした。一応、リチャードとしては「やらせたくねぇんだけど」という本音はある。各方面から狙われる神子を簡単に表に出したくはないのだ。だが、あまりしまい込んでばかりだとハロルドに直接会いに行こうとする者たちが増えかねない。ただでさえ多いのに、だ。

 ハロルドは、何もかもフォルテの成果にしてきた結果がこれなので、「まぁ、信者が増えるのは悪いことじゃないし、ルイも一緒だからなんとかなるか」と気楽に考えた。たまにはフォルテのために何かするのも悪くないだろう。



「そういうわけで、俺が目立たずにそれなりの大きさの催し物を企画する方法はない?」



 帰宅後にそう切り出したハロルドに、アーロンは「おまえがやりたくねぇって言ったら、誰も止められないんだから聖歌隊でもなんでもやりゃあいいじゃねぇか」という身も蓋もない答えを返した。



「……うーん、それもそうだね。孤児院の子たちを雇って、バザーをするのもありかなって思ってるんだ」



 作る材料費などは自分が出せばいい。ハロルドはそんなことを考えていた。

 特に贅沢を好むタチでないだけに、与えられた予算は余っているし、まねきねこ商会の方で得ているお金も銀行の金庫に積み重なっていた。珠たちのような大和からの移住者やラムルの密林の先にある花香という国くらいでしか需要がないと言われている米にポンと投資できたのも、金があるからである。

 その恵みを受け取っているとはいえ、珠は「もうちょっとご自分のために使(つこ)うて〜!ホンマお願い〜!!」と思っている。だが、ハロルドは「使いどころないな。領地の道でも整備するか?」みたいな感じのお金の使い方をしている。

 なお、道の整備のおかげで少し残高が減った。珠はそれでも「これ、道の整備終わったら多分また増えるで。ウチにはわかる」と思っている。



(なんか、雇用が増えたとか、流通がどうとかで感謝の手紙が届くんだけど、まだ途中だからそこまで感謝されるのもなぁ)



 前ハンベルジャイト領にあった()()孤児院にいた子どもたちも一部を除いて回復してきている。フォルツァートの神像をウィリアムに頼んでその信徒へと返し、フォルテの神像を置いた。なぜかハロルド以上に祈りを捧げてくれている。

 そのようなことばかりしているので慈善活動と領地繁栄しか考えていないと思われているようだ。ハロルドには別にそんなつもりがないのだが。



「金勘定の練習にもなるしね。いいんじゃない?」


「商売に向いてる奴も出てくるかもしれねーしな」



 二人の意見に「じゃあ、やってみようか」と頷いた後、やることを脳内で計算する。



(そろそろ、魔物が増える時期だってアシェルさんに教えてもらったっけ?成果報酬を上乗せするように頼んでおかないと。それから、肥料の追加をするのは珠さんに頼んで、領地の報告は明日あたりに全部読んでおかないとな。冬の長期休暇は領地の方に行って視察……)



 祭りでやることに関してはルートヴィヒやウィリアムとの相談も必要だし、催し物で勉強をおろそかにしてはいけない。

 いきなりやることが多いな、とは思うけれど全部自分一人でやるわけではない。ミハイルも明日には戻るので、サポートもしてもらえるだろう。

 そんな風に考えていると、バン!と扉が開いた。



「ハロルド!そろそろ祭りの時期と聞いたが!!」



 そこにはキラキラした瞳の風の精霊ブランが立っていた。ハロルドの領地を仮で守ってくれているはずの彼女の姿に、ハロルドたちは目をまんまるにした。その後ろでアイマンが「すまん」と手を合わせている。



「明らかに人間でない雰囲気だったし、害意もない。それにお前の知り合いだと言うから……」


「これは大丈夫な精霊なので平気です」



 アイマンは遠い目で「精霊かぁ……」と呟いた。ハロルドに関わってから人外の存在に出会いすぎる。



「我、去年みたいに串焼きとかりんご飴が食べたいぞ!」


「いいけど、まだ少し先だよ」


「……もしや早まりすぎたか?」



 もしや、じゃなくてもそうである。ブランの足元でスノウが吠えていた。スノウはブランが来るとおやつの取り分が減るのでさっさと帰って欲しかった。

ブランは食いしん坊!

いつも読んで頂き、ありがとうございます!

感想もたくさんありがとうございます!


◇質問の返答とか

Q.なんでこんなに美女な女神フォルテより脳筋フォルツァートの方が信者多いの!?

A.お節介で真面目なフォルテより脳筋の方が当時の為政者たちに都合が良かった。あと、彼、戦いの神様でもあるからそこもね、戦いの多い世では尊ばれた。そんな事情です。


【お知らせ】

2024年6月25日に巻き込まれ転生者は不運なだけでは終われない1巻がオーバーラップノベルスさまより発売いたします。

イラストレーターはRuki先生です。素晴らしいイラストをたくさん描いていただいたので、ご期待ください!!

特典等詳細は著者活動報告にも書いておりますので、ぜひご確認ください!

今後もどうぞよろしくお願いいたします!

挿絵(By みてみん)


アーロンのキャラデザがオーバーラップ情報局(公式X)より発表されてます!表紙の制服だけでなく私服も出ていてとっても良いので見ていただけると!!


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― 新着の感想 ―
[一言] ブランお久しぶり 相変わらず可愛いけれど、真の姿をハロルドはまだ知らないんだよなぁ それにしてもハロルド、自分はそんな器じゃないと言いながら、領主としてきっちり良い仕事している気がする 本…
[一言] ブランは食いしんぼ…いや、やることはやってるし入り浸ってる?訳でもなし、この場合スノウが食いしん坊ではなかろうか
感想一覧
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