1.夏は終わって
「やっぱり、まだ暑いな」
そう言いながらもハロルドは涼しい顔で制服を着込んでいた。王城に戻るために、いつもより装飾が多い。校章の入ったマントが風で靡いた。
「ハロルド……そんなこと言いながらなんでそんなに涼しい顔してるんだよ〜……」
恨めしそうなペーターを見ながら、ハロルドはふふ、と笑い声を漏らした。その手を取ると、ふわりと冷風が送られる。
「少しは涼しかったでしょ?」
悪戯な笑みに「ず、ズルい……」と呟いて項垂れた。ハロルドのやっていた小細工を再現しようとしたがやり方が分からなかった。水系と風系の混合魔法だということしかわからない。しかもおそらくかなり繊細な魔法だ。
「頑張って魔力制御を覚えることだね」
「……それしかないかぁ」
項垂れるペーターにルアが「闇系統以外は弱いのだから、ハルよりは習得が楽なはずだぞ」と告げてルクスに拳骨を落とされていた。
「何やってんだ、アイツら」
ミラを片手に抱き上げたアーロンがそこに現れる。その後ろにグレンもいた。
夏季休暇の間に声が低くなったためか、少し話しづらそうだ。背もハロルドよりも高くなるのが早い。まだ伸びそうだ。
「裏技を教えてあげたら凹んじゃって」
「裏技?」
アーロンにも同じように冷風を送り込めば、彼は「あ゛ー……」と声を上げた。
「……この手があったか」
瞬時に再現できるあたり、アーロンの優秀さが伺える。ミラが瞳をキラキラさせながら「涼しー!」と喜んでいる。
「じゃあ、兄ちゃんもう戻るわ。あんまりワガママ言うなよ〜」
「うん!ミラ、良い子にしてる!」
アーロンはミラを下ろすと、グレンに「家のことは頼んだぞ」と言ってその肩を叩いた。真剣な顔で「わかってる」と頷く。
ペーターはそんな彼らに、少しだけ羨ましそうな顔を向ける。それは、彼が「そうなりたかった兄弟」の光景だった。
(いや、もうアイツとああなりたくはないけど)
弟だとも思ってほしくない。自分には兄はいない。兄のような幼馴染はいるけれど。
「ほら、さっさと帰るわよ!」
「ウチ、アイス食べたぁい」
「すやぁ……」
早くやることを済ませてしまいたいローズ、ハロルドにアイスを作ってもらってからハマってしまったリリィ、一人呑気に寝ているネモフィラ。
今日も妖精たちは自由だった。
いつも読んで頂き、ありがとうございます!
◇質問の返答など
Q.ゼーゲン、離婚せんの?
A.今そこまで考えられるほど余裕がない。まだ割とギリギリ。回復したら考えるかも。
元々はフォルテの加護持ちだったけど、彼自身が神になっちゃったので信者カウントはなくなってたりします。
Q.表紙にいるのって女の子ってアンネリース?
A.そうです!ピンクの服の女の子がアンネリースです。とっても可愛い。
Q.ネームドキャラが多くて混乱する。登場する時に肩書きや主人公との関係性をつけられないか?
A.すみません。自分があまりお休みなく書いてることもあってあまり意識してませんでした。今後少し書き方考えます。テンポとか優先しちゃうこともあるので、すぐには直らないかも。
Q.某婚姻法って神だけで妖精・精霊除外?
A.そうです。駄々こねた加護持ちは妖精からバチくそ嫌われてたことも当時の王族には都合が良かった。
【お知らせ】
2024年6月25日に巻き込まれ転生者は不運なだけでは終われない1巻がオーバーラップノベルスさまより発売いたします。
イラストレーターはRuki先生です。素晴らしいイラストをたくさん描いていただいたので、ご期待ください!!
特典等詳細は著者活動報告にも書いておりますので、ぜひご確認ください!
今後もどうぞよろしくお願いいたします!




