3.アデニウム
庭への侵入者がラムル王国第三王子アデニウムであったことを知った三人は「他国の王子の行動力どうなってんの」と思いながら白い目を向けていた。
「あなたが居なくなって何人の人生が変わると思っているのです!?」
「ははは、たくさんだな。最近、兄上たちは私の元にあえて役に立たん者を遣し、脱走次第クビにしている」
「そういう、恨みを買うやり方を!するなと!!あれほど!!」
「一応、ジャファル兄上には声をかけてきたぞ。これが証拠だ」
アイマンは胸を張って巻物を渡すアデニウムにジト目を向けながら、それを受け取った。中身を確認すると「アデニウムが何をやってもコイツ一人の責任なので、国際問題には致しません。そして、何かやらかしたらそちらの法で裁いて頂いて結構です」といった内容の文面だった。
「……じゃあ、とりあえず住居不法侵入と……窃盗ですね」
アデニウムが手に持っている薬草を見ながら、ハロルドは冷静にそう言って、手を二度叩く。黒ずくめの男が二人、ハロルドの後ろに現れる。
「すみません。話は聞いていたかと思いますが、この書面と王子様を王城へ運び込んでもらっていいですか?俺の手には余るので」
「もちろんですとも!!」
「我々、他国よりハロルド様が大事ですので!!」
相変わらず謎にきらっきらした瞳で見られてちょっと引いている。ただし、助けてもらっていることには変わりがないので「まぁ、いっか」と切り替えた。
(そういえば、最近の下級生。俺を見てたまに拝んでる子とかいるんだよな。……加護効果で後ろに後光でも射してるのか?)
そんなわけないしなぁ、なんて思いながらペーターに視線を向けた。
絶対『何か』やっている。
最近、ペーターがやたらと自分のために動こうとしているので余計にそう思う。どうしてこうなったのかハロルドにもよく分かっていなかった。
「え、待って。そこのアルス様の匂いがする綺麗な子ともう少しだけお話を……」
「持っていってくださーい」
面倒事の気配しかしなかったので、ハロルドは最後まで話を聞かずにお願いした。「かしこまりー!!」と元気よく返事をした二人はアデニウムを腕と足で分けて持ち上げ、ぴゅんっと消えた。
「なんであんなに頑張ってくれるんだろう」
ハロルドが呟くと、ペーターは「ハロルドがすごいってところ知ってるからだよ!」なんて嬉しそうに言った。
相変わらず普通に人間扱いしているだけで好感度が上がっていた。
ハロルド「俺、何もしてない……」




