2.庭への侵入者
打ち上げが終わり、友人たちが帰ったあと庭の方で妙な気配がした。
アイマンが「見に行ってくる」と言うので任せてアーロン、ペーターと片付けをする。ミハイルは少し顔色が悪かったので早めに下がらせていた。
少しすると、庭から大きな声が聞こえた。
「俺、ちょっと見てくるよ」
ペーターがそう言って、台所を離れた。
庭への扉が開かれた瞬間、「単独で国を出るなんて何を考えているんですか殿下ぁ!!!」というアイマンの声が響いた。
「なぁ、ハル。殿下って聞こえなかった?」
「聞こえた」
そして、ルートヴィヒが帰った今、自国の王子ではないだろう。
二人は視線を合わせて、同時に溜息を吐いた。嫌な予感がする。
「……行くか」
二人は持っていた食器を置いて、手を拭いた。
そして、庭に続く扉からひょっこりと顔を出す。
「聞いておられるのですか!アデニウム殿下ッッッ!!」
「聞いている聞いている。だが私はスペアのスペア、第三王子だぞ。あと、あちこち徘徊しすぎて誰も私のことなど気にせん」
「あなたが気にせずとも、この国であなたに何かあれば、この国が困るのです!!」
国際問題にする気か、と至極真っ当なお説教である。
アイマンの目の前にいる男は、しっかりと地面に正座させられていた。
黒髪に、緑色の瞳。ゆったりとした白を基調とした服に赤いターバン。気品を感じさせる顔立ちは、説教を受けていることで台無しになっていた。
「おや、そこにいるのは誰かな?」
アイマンをスルーして、ひょいと顔を出したアデニウムはひらひらと手を振った。
「私はアデニウム。君たち、名は?」
そう聞いたアデニウムだったが、そこから一拍置いてゴン、と拳骨が落ちた。
さすがに痛かったのか頭を抱えている。
「すまない。この侵入者はラムル第三王子……薬学狂いのアデニウムだ」
「じ、自国の王子に対しての態度ではないんじゃないか!?」
「あの国に戻るつもりがないので」
「え、それは困る!!私ではなく兄上たちが!!」
——あんたは困らんのかい。
ハロルド・アーロン・ペーターの心の声が重なった瞬間だった。
目の前にいる成人男性は、少なくとも三人が見た限りでは、非常に『誰かに面倒を見てもらわないとそのうち死ぬ系』の人間に見えた。
いつも読んで頂き、ありがとうございます!
また、感想もたくさんありがとうございました!!
とりあえずまた感想欄閉じてます。




