47.ドラゴン1
協力を取り付けることができたので、ハロルドは先に捕まえていたドラゴンの治療にあたることにした。
ユリウスとアルマがいるおかげで押さえつけが可能だという理由もある。
背後でエリザベータとシャルロットが殺意たっぷりで見ているせいか、アルマが震えていた。少し可哀想である。
「ハロルド様、我々に震えているようですが、これはそんなに役に立つのですか?」
「ハル、こればかりは同感よ。やはりこのトカゲ共、皆殺しにしてしまう方が早いのではないかしら」
「物騒」
ハロルドがぶっ倒れたことにまだまだ怒っている二人の発言は過激である。というか、ハロルドの周囲にいる人物に過激な人物が多い。
あまり恨みも買いたくないハロルドは溜息を吐いた。
「今から、あの時捕まえたドラゴンを出すけど、押さえつけてもらっていいかな?」
「は、はい!」
元気に返事をしたデイビッドに比べると若干不服そうなユリウスだったが、自分の主人に思い切り足を踏まれて、「……はい」と返した。
「ルア」
「任せろ」
ハロルドが魔導具を取り出すと、その上にルアが現れる。タイミングを合わせて魔力を放てば、足元に魔法陣が広がった。
そこからゆっくりと、地面から迫り上がるように巨体が現れる。
「本当に、無事で……」
シャルロットの剣が炎を纏っていたおかげか、切り落とされた腕は焼かれて止血されている。
弱っているように見えるが、その瞳の熱は失われていなかった。向ける敵意はそのままだ。
「今から身体回復薬を飲ませるから、なんとかして」
「おまかせを!」
デイビッドの目がなぜかキラキラしているのが気にかかるが、目的を達成できればなんでもいいので、あまり考えないことにした。
まさか幼馴染がハロルドの素晴らしさを洗脳のように吹き込んでいるだなんて彼は知らないし、その記憶が混じっているせいで今のデイビッドがハロルドに妙なカリスマ性を見出しているだなんて思わない。
デイビッドはドラゴンの前に立つと、鋭く鳴いた。それはドラゴンの声そのものだった。彼自身の雰囲気も普段とは変わり、プレッシャーを感じる。
叱られた子供のように、ドラゴンは口を開く。そこに回復薬を流し入れた。三本目を飲み終わった頃には腕が生えていた。
「相変わらず意味のわからない回復力だな」
「作ったあなたが何を言うの」
エリザベータは呆れたような、仕方がないとでも言うような声音でそう返す。確かに、とハロルドも苦笑した。
そして、ハロルドはデイビッドと視線を合わせると、ゆっくりと今回の顛末について、話しても差し障りない程度に話す。それに続くように、デイビッドがそれをドラゴンに訳した。
何のことはない。
ハロルドはとりあえず説得を試みることにしたのである。ついでに、マーレ王国からドラゴンを取り上げることができれば万々歳である。
デイビッドはやり方さえ思い出せばちゃんとやれる子。
ユリウスは役に立たなかったので女性二人から「要らないのではコイツ」という眼差しで見られている。




