40.苦労人と苦労神2
昨日出そうと思ってたやつ
書ければ夜にまた更新します
「シアは雨の神様です。オルタンシアです」
「アタシはドンナ。雷の神だ」
ハロルドは目眩がしそうだった。
エスターは妹たちを見ながら胃を摩っている。不憫だった。
「エスター兄様、大事なことはさっさと話しておくべきです」
「要らんことされる前に手ぇ打っとこうぜ」
妹二人に言われて、「そうだな」とハロルドの方を向く。そして相談がある、と話し出した。
「ハロルド・アンバー。君に、俺から加護を与えたい」
「……一応理由を聞かせていただいても構いませんか?」
「うん。当然怪訝に思うだろう」
四季の神というのは、神の中でも特殊な性質を持っている。
各々が四季にまつわる強い権限を持ち、その加護を得た者は該当する季節の神の影響を受けて、季節の恵みを受けやすくなる。例えば、春の神に愛された者は運命の愛を手繰り寄せる力を得るし、秋の神に愛されれば行く先々の作物が豊かになったり、芸術に愛された人間などとも呼ばれる。
神々の権能の強さによって、その人間と権能の相性によって、与えられる恵みも変わるけれど、これに関しても加護を得た人間の事後は良くない。多くは破滅する。
春の女神なんて、その様を見るのが楽しくて堪らない様子だった。
「悪趣味ですね」
「本当にな」
元々はそんなに歪んでいなかった。だが、神として長く生きているからこそ、変わっていくのだろう。そう考えながら、エスターは続けた。
「某たちは、それなりに強い力を持つ神だ。だが、その反面、強いからこその縛りもあるのだ」
「縛り?」
「そう。四季神の加護は共存できない」
その言葉を聞いたハロルドは呆気にとられたような顔をして、それから「なるほど」と呟いた。
「エスター兄様の加護があれば性悪な姉様と恋愛脳お花畑系な姉様に目をつけられる心配がありません」
「ネーヴェ兄貴もめんどくせぇから、エスター兄貴にしとけ」
ハロルドが少し考え込んでいると「ちなみにフォルテ様からも許可は得ている」とアルスが付け足した。その言葉に「よっぽど他の三人がヤバいんだな」と思ったハロルドは悪くない。
結果として、ハロルドはなぜかまた神の加護が増えたのだった。
「こんなはずじゃ……」と虚な目をするハロルドと、「うちの連中が本当にすまん……」とボヤくエスター。
苦労人と苦労神は、やっぱり胃も頭も痛いままだった。
フォルテは「この子は他ほどやらかさないから」などと発言しており…




