12.祈りが届くなら
カラムも「じゃあ、ティターニアんとこ行ってくるわ」と去っていき、一息ついた。
頭痛がして眉を顰めると、カタリと音がする。音の方向を見ると、呆れたような顔のアーロンと目が合った。
「まだ体調が良くないんじゃねぇか?」
「朝よりはマシかな。疲れてはいるけど」
「面倒臭い連中の相手を一々するから」
「相手をしないともっと面倒な存在ばっかりなんだよ……」
アーロンが出してくれたホットミルクに息を吹きかける。それに口をつけるとホッとした。
「今思ったんだけど」
「何を」
「これもフォルテ様に押し付けたらいいのかな」
ハロルドはマグカップの中身を見つめながらそう言うと、アーロンは少し考え込んでから頷いた。
「そうだな。人間にはどうにもならねぇこともある。神には神をぶつけねぇと」
二人は目を合わせると同時に作業を開始した。貢物作成のお時間である。
神棚でもフォルテの元にお供え物が届くというのはもうわかっている。手紙もつければなお良いだろう。
アルスまではともかく、それ以降に出会った人外たちがあまりにもあんまり過ぎた。胃が痛い。頭も痛い。
手際よくご馳走や花束を用意していく二人に、ミハイルとペーターも手伝おうと声をかけようとした。だが、アイコンタクトと「アレ取って」「それはこっち」だけで意志疎通ができている二人の間に入ることができなかった。ペーターは「おれのほうが、つきあいながいはずなのに」と恨みがましそうな目でアーロンを見つめている。
「できた、そっちは?」
「いける。お、なかなかいい出来じゃねぇか」
出来上がった祭壇はそれなりに豪華に見えた。それだけ彼らが本気で困っていたともいう。疲労からか、ふらりとしたハロルドをアーロンが支えた。
「ほら、お前が祈らなきゃ意味ねぇぞ。今日はもう食って寝るだけだ。もう一踏ん張りと行こうぜ」
「うん、ありがとう」
女神フォルテの神子であるハロルドが祈れば、その声は届くだろう。そう知っているから彼らは真剣に祈ることが出来る。
「危機を教えてくれるのはありがたいけど、俺は大事にされないと何かが起こるようなやばい人間になりたくない」
「いやまぁ……それは誰だって嫌だよ」
これに関しては口を挟めることがないのか、妖精たちは静かにしている。
「王様、擁護できない」
「ウチらもハルの邪魔して嫌われたくないしぃ……」
コソコソと話し合う内容は割と自己保身に走っていた。
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