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26.友人たちの語らい



 ブライトとルートヴィヒを見ながら、アーロンは頬杖をついている。勉強に関しては家に帰ればハロルドがエリザベータに習ったことを教えてくれるので問題がない。

 どうしてもエリザベータが苦手なブライトに付き合っているだけなので、たまに彼らが分からないことを話し合っている以外には物音が聞こえず静かだ。足元でスノウがあくびをする。呑気そうなその姿を見て少しだけ心が安らいだ。



(中身はどうあれ、見た目は子犬だからな)



 最近ではアーロンよりもハロルドに媚びた方が食べ物がもらえると学習したらしく、時々おやつをせしめている様子が見られる。アーロンから見て、友人はこの子犬詐欺に甘い。スノウだけではなく、妖精達にも甘いし、それなりの頻度でやってくるブランにも甘い。



「そういえば、ハロルドは本当にあのタンザナイト嬢と仲が良いのか?」


「そうだな、姉弟って言われても違和感ねぇくらいにはな。まぁ……二人とも結構気が合うみたいだし」



 情熱的に恋愛をしているという様子でもなく、穏やかに、それが普通であるというように話す二人は家族のようだ。友人がそのように関わることができる人間が少ないと知っているので、アーロン個人としては彼女をどうこうしたいだなんて思っていない。



「なんか、ハロルドくんと医神様と一緒に旅した後から感じが変わったよねぇ?僕個人としては周囲に対して凶行に及ばなくなったから良いんだけど、それはそれとして普通に怖い」



 ブライトは意味もわからないまま、災害のように近づいてくる彼女を思い出して身震いした。

 そんな彼に、単に対象が変わっただけだとはアーロンも言わなかった。ハロルドに近づく令嬢の一部は魔法とその視線で脅され、すごすごと逃げ帰っている。メガネが完成してからはそういうことも少なくなったが、今まで素顔を晒していたのだから、いきなりなくなったりはしない。

 現在のエリザベータはブライトを観賞用、ハロルドを庇護すべきものとして認識しているように見えた。



「おまえらとハルじゃ社交力に差があるしな」


「単純にハロルドが人たらしなのではないか?」


「人よりも先に神様とか妖精の方をたらしこんでる気がするけど」



 砂の妖精がせっせとハロルドに花や薬草の種を貢ぎ始めるのにも時間がかからなかった。花の妖精も便乗してローズ達に託したり、枕元に小さなリボンをかけて置いておいたりしている。

 そして、「せっかくもらったし育てるか」と育てて、この間、成長が比較的早いものが育ち、花が綺麗だったし薬効があったのでフォルテとアルスに供えられた。成長は早いが、育てるのにはコツがいるそれはアルスに非常に喜ばれたが、緑の手というスキルを持つハロルドにとっては大した苦労もなく育ったものだ。夢にわざわざ現れて狂喜乱舞するアルスに対しての感想を「ヤバいなと思った」などと疲れたようにアーロンに話している。



「フォルテ様以外、きっかけを作ったの本人じゃねぇだろ。というか、いい加減に巻き込むのやめてやってほしいんだけど」


「私もできればハロルドには穏やかに生活してほしい。というか、私も穏やかに生活したい」


「ルイは王子様だから無理じゃない?」



 ブライトに言われて「わかってる」と疲れたように呟いた。



「わかっているさ、そんなことは。おそらく王族に残ることにもなるだろうしな」



 第二王子もあの事件の関係者であることは変わらない。王太子が回復したとは言っても、彼が婚姻を結び、子が産まれるまではルートヴィヒも自由にはなれないだろう。



「ブライトも道連れにするからまだいいが」


「しないで!?」



 しれっとそんなことを言ったルートヴィヒに抗議の声をあげたブライト。

 ブライトは唇を尖らせて、不服そうに「まぁ、僕の価値なんてちょっと力が強くて頑丈でとびっきり可愛いことくらいだけどさぁ」なんて言うと、ルートヴィヒはさらっと爆弾を落とした。



「そうだな。私の側近で顔が多少可愛い上に、処世術とはいえ愛想を振り撒き、次男だから婿入りも可能という条件でやたらと面倒な女を引き寄せるくらいだな」


「待て、コイツもしかしてあのお嬢様だけじゃねぇの!?」


「……、てへ」



 パチンと片目を閉じて舌を出し、こつんと頭を叩いてみせたブライトに、アーロンはちょっぴり殺意が芽生えた。

いつも読んで頂き、ありがとうございます。


ブライト本人は特にめちゃくちゃ愛想良くしているつもりではない。気がついたら引っ掛けてる。

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