表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】巻き込まれ転生者は不運なだけでは終われない【4巻制作・コミカライズ化決定!】  作者: 雪菊
3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

104/508

18.雪の中の攻防3


 対人戦なんてあまりしたことがないはずなのに、アーロンは容赦なく男相手に弓を射かけていた。近接は少し体を大きくしたフェンリルが担当しているが、その技能は中々で魔法を織り交ぜた攻撃には男も苦戦している様子だった。時折、当たりそうな攻撃はハロルドが防いでいるというのもあるかもしれない。



(なるほど、共に戦うという点を見ればバランスの悪いペアだと思っていたが、近接のできるアタッカーが入るだけで変わるものだな)



 アーロンは弓の名手、ハロルドは器用な魔法使いといった印象だった。両方がどちらかといえば戦士というよりは狩人。対人戦で近接に持ち込まれればすぐに片が付くはずの相手だった。

 厄介なのはアーロンへの攻撃は謎のシールドによって阻まれている点だ。女神の弓手袋の効果は絶大だったし、それを発動する魔力は適宜ハロルドが補っている。


 後ろにいる相棒に飛び乗ると、全員が忌々しいとでも言うような顔をするのが滑稽だ。しかし、ハロルドたちが必死なのと同じように男の方にも彼を求める理由がある。



「行くぞ、アルマ」



 相棒に話しかけると、心得たとばかりにドラゴンが応えた。



「羽根なんぞぶち抜いてやらぁ!」


「風よ、勢いを増せ」



 アーロンの手元でバチバチと音を立てる矢に、すかさず強化をかけるハロルド。

 手元からそれが離れると、先ほどよりも勢いの増した矢が放たれる。男はそれを切ったけれど、矢は分たれただけでそのまま羽根へと飛んでいった。

 小さく悲鳴を上げて、ドラゴンが落ちる。ただし、それだけで終われるかとでも言うように、黒い炎を吐き出した。



「アオォォォン!!」


「光よ、我らに守護の力を与えよ」



 フェンリルが二人の目の前に立って盾のようなものを作った。その目で属性を確認したハロルドはそれを強化する魔法を展開する。アーロンはそれを見ながら矢を番える。



「させるか」



 上空から聞こえた言葉に咄嗟に、妖精たちが一斉に魔法を放った。

 そのせいだろう。



「雪崩だ!!」



 護衛の人が叫ぶ声が響いた。

 双方の火の魔法によって周囲の気温が急激に上がり、土と水の魔法で地面が揺れた。そのせいで起こった雪崩は彼らを呑み込もうとするように近づいてくる。

 妖精たちがハロルドを優先するようにフェンリルは急いでアーロンを回収する。それを見ながら、「あの護衛の人も頼む!」と叫んだ。



「ハル!」


「みんな、力を貸してくれ」



 妖精たちは頷いて光を放ち出した。

いつも読んでいただき、ありがとうございます!!

感想とっても嬉しいです、ありがとうございます!!


アーロンが容赦ないのは完全に「殺らなきゃ殺られる」って思ってるから。ちょっとフェンリルくんと強制契約されてる影響もある。

ハロルドは「イメージしやすいから」って理由で教科書通りの文言を使って強化魔法の使用をしてる。慣れてくれば指先一つでやってのける人もいる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ