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「それじゃあ、またね」
「はーい!蓮くん!また、連絡するね〜!」
田中蓮は笑顔で帰っていった。
あの場を楽しく過ごせる彼はすごいと思う。
トラと小鳥遊咲良、牧村千秋も一緒に帰っていった。
さて、僕も帰ろうかと思ったら、
広橋麻里菜に話しかけられた。
「ねぇ、アンタさ〜。アタシらと知り合いになったなんて思わないでもらえる?」
「…え?」
「アタシは蓮くんと知り合いになりたかっただけで、アンタみたいな隠キャなんて興味ないの。だから、勘違いしてほしくないんだよね〜」
「ちょっと、麻里菜!」
「だって、そうでしょ?七海も同じこと思ってんじゃん!」
「私は…」
「だからさ、はっきし言っとかないと!勘違いされても困るからさ〜。アタシ達見かけても声かけないでくれる?わかった?」
「…はい」
ちょっと、麻里菜いいすぎじゃね?
ちゃんと言っとかないとダメでしょ?
なんて会話を笑いながらして帰っていった。
僕には願ってもないことだったので、
ありがたく知らない人間だと思うことにしよう。
疲れたなぁ〜と思いながら歩いていると、
声をかけられた。誰だろうと振り返ると篠宮里沙だった。
「霧山くん!休みの日にたまたま会うなんて珍しいね!」
「…そうですね」
「何してたの?」
「…コーヒーを飲んでいました」
「そうだったんだ!美味しい喫茶店を知ってるのかな?」
「トラと小鳥遊さんに誘われて行っただけですので…」
「トラくんと小鳥遊さん?小鳥遊さんも一緒だったんだね」
「…そうですね」
「今から…何か予定とかあるのかな?」
「特にはありませんが…」
「そっか!それなら久しぶりにバケタイでもしない?」
「…バケタイならオンラインでもやってますよね?」
「そうだけど…ほら!たまたまこうやって会ったんだしさ…」
正直、今から帰ってまた出るのは面倒だ。
「それなら、今から帰りますのでオンラインでしませんか?」
「そ、それは…」
そっちの方が効率的にも僕的にもいいのだが…
「あれれ〜?りっくんにリサリサじゃ〜ん!」
おーい!と言いながら笑顔で手を振って近づいてきた。
「ユイ…」
「休みの日に会うなんて珍しいのです!」
「そうだね。ユイはどうしたの?」
「ユイユイはお家に帰るとこだったんだけど…りっくん!ちょうどよかった〜!オンラインだっけ?ユイユイよくわからないのです!よかったら教えてくれないかな?かな?」
そう言えば、結衣さんはオンラインに参加してこなかったな…
「なんかさ〜!インターネットを繋げるとかなんだよね?それってコードとか買わないとできないのかね?」
「いえ、携帯と同じようなものですから…簡単にできると思いますが…」
「そうなのっ!?」
「うん。私もわからなかったけど、永森くんに教えてもらってできるようになったよ」
「リサリサもしてるんだね!いいな〜、ユイユイも一緒にしたいのです!りっくんの都合がいい時でいいから教えてくれないかな?」
「いいですよ。そう言えば、メイちゃんは元気にしていますか?」
「もうね〜、メイったら、にーに!にーに!っていっつも言ってるんだよ!」
「そうですか。元気にしているのならよかったです」
「霧山くんってさ…やっぱり、ユイと仲良いよね?」
「…そうですか?」
「え?リサリサどうしたの?」
「ううん。何でもない!じゃあ、私帰るね!また学校で!」
篠宮里沙はそう言って帰っていった。
何か言いたそうな顔をしていたけど…
「それなら結衣さんにオンラインの繋げ方を教えましょうか」
「いいのっ!?」
「はい」
「やった〜!ありがとね!」
僕は結衣さんの自宅に伺い、
オンラインに繋げられるようにしてあげた。