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「おい!霧山!どういうことだっ!?やっぱりお前はライバルだったのかっ!?」
「おい!剛!やめとけって!」
土田剛と僕はそう言って、
間島宏樹はそれを止めている。
どうやらまた告白したようだが振られたらしい。
「…どういうことだ…と言われましても」
「白雪さんは他に好きな人がいるって言ったぞっ!お前か!お前なのかっ!?」
「おい!剛!やめとけって!霧山…ごめんな」
「…いえ、大丈夫ですが」
「宏樹!他に好きな人がいるってことは霧山以外に考えられないだろう!お前はそれでいいのかっ!?」
「俺は…白雪さんが幸せならそれでいい…だから!霧山に迷惑かけんなって!」
土田剛と間島宏樹はそう言い合いながら、
僕の目の前で話している。
とりあえず、こっちで話そう!と土田剛を、
僕の席から離してくれた。
間島宏樹…ありがとう
そして、いつもの用事が最近はエスカレートしてきている。どうやら萩原優吾は篠宮里沙のことが好きらしい。
篠宮里沙と仲良くしているのが、
気に食わないのか、殴る蹴るの行為が、
どんどん酷くなってきた。
相変わらず、お金も取られている。
篠宮里沙も白雪姫花も友達だけど、
恋愛が絡んでくると面倒だなぁと思った。
仮に僕が恋愛感情がなかったとしても、
異性ではあるから…
どうしても気に食わないのかもしれない。
僕はため息をついた。
「どうしたんよ?元気なさげじゃん」
「そうだね。…大丈夫なんだけどね」
「…リクは1人で抱え込むからな。何かあったなら俺でよければ話せよ?」
「うん。タカ、ありがとね」
「リク、あんま無理すんなよ?」
「うん。トラ、ありがとね」
「てかさー、最近、篠宮さんと白雪さんがさー、リクにばっかり話しかけてる気がするんだけど、俺の気のせい?」
「…それは俺も思っていたな」
「もしかして、リクのモテ期到来?」
「違うと思うけどな」
「えー!でもさ〜!クラスで人気のある女子2人と仲良くなってるわけじゃん!もしかしたら、リクのこと好きなのかもよ?」
「…だとしたらリクは困るな」
「そうだね」
「えー!何でだよ!嬉しいじゃん!」
「…トラ…リクが好きな人に好かれるなら俺も嬉しいと思うが、リクにとっては友達としか思えてないんだ。そうだろ?」
「うん。タカの言う通りかな?」
「そっか〜!俺だったら嬉しいけどな〜!友達でもさ!好きになってもらえたら嬉しいじゃん!」
「…トラには恋愛というものがわかっていないんだな」
「うわぁ!彼女がいるからって俺とリクのことバカにしただろっ!?」
「…別にリクを馬鹿にはしてないがな」
「リクをって!俺のことはバカにしてんのかよっ!」
トラとタカが仲良く喧嘩している。
いつも通りで落ち着くなぁ
ガシャン
教室の中で大きな音が響いた。
湯水淳二がペンケースを落としたようだ。
「ご、ごめんなさい…ごめんなさい」
「おい!湯水!うっせーよ!」
萩原優吾が湯水淳二にそう言った。
「萩原くん!それは酷いじゃないか!大丈夫かい?」
「おいおい!大丈夫かよ?」
田中蓮とトラが落ちたペンケースを拾いに行く。
「あ、ありがとう…」
「大丈夫だよ」
「気をつけろよ〜」
田中蓮もトラも笑顔で拾ってあげている。
湯水淳二は何度もありがとうと言っていた。
トラが僕の席に戻ってきたら、あれ?と言い出した。
「どうしたの?」
「んー?なんかさ…咲良ちゃん、元気なさげじゃね?」
小鳥遊咲良を見るが、笹原瑞穂と安村望美と、
一緒に楽しそうに話しているようにしか見えない。
「…俺にはわからないな」
「うん。僕もわからないかな?」
「そっか〜…俺の気のせいなんかな?」
トラは首を傾げながら小鳥遊咲良を見ている。
「俺さ〜、ちょっと様子見てくるわ!」
そう言って、トラは小鳥遊咲良の近くに行った。