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「なぁ!リク!ロボカス見たか!?」
「うん。見たよ」
超絶機動ロボ!カスタムゼロ2
アニメの話だ。
フラワーロボに乗ったハナコさんがコウタロウくんの身代わりに怪獣からのビームに当たり亡くなってしまった。
その時に、コウタロウくんのことが好きだったと告白したのだ。コウタロウくんの友達のタケシくんと付き合っていて、元仲間のハトムギ博士と浮気をしていたのにも関わらず、コウタロウくんに告白して亡くなったのだ。
タケシくんとハトムギ博士は一致団結し、
コウタロウくんと敵対する。
一方コウタロウくんは、俺はハナコさんに命を救われた…敵討ちだと思うなら思えばいい…受けて立つ!と言う始末。
ハトムギ博士の娘であるタマコ博士はコウタロウくんにいつまでもそれは蛇足だぁーー!!と言われ続け、コウタロウくんのことが好きだけど…言葉にできない思いも抱えているようだった。
「まさかスターロボが負けるとはなぁ」
「まぁ、超絶機動ロボはカスタムゼロでボスダナーを倒したぐらいだかな…それはいいがアレはないと思った」
「スターロボFだろ?」
ハナコさんが乗っていたフラワーロボの部品を使い、スターロボは新たにスターロボFとなったのだ。
「スターロボは好きだが、スターロボFはダサすぎる。考えたやつでてこいって思ったからな…」
「まぁ、ハナコさんの思いをって考えだったんだろうけど、どこを目指しんてんのか、わかんない感じだよな〜」
「そうだね」
「しかも、怪獣の正体もわかったな」
「…ボスダナーJr.…ボスダナーの子供だったんだな」
「何でも父親を殺された復讐だっけ?でも、ボスダナーが突然、襲ってきたんだろ?」
「ボスダナーJr.にしたら、父親を殺されたことに変わりはないからな…」
「そんで、タマコ博士もコウタロウくんと仲間になれば父親のハトムギ博士に復讐できると思ってたけど、コウタロウくんのこと好きになっちゃってさ!結局、何もできないままでさ!タマコ博士まで、この分からず屋!って怪獣側に行くとは思わなかったからな!」
「怪獣を改造して強くするって言ってたな…それより俺は怪獣のビームについて、思うところがあるんだが…」
「あー、ハナコさんが庇ったビームを超絶機動ロボが普通に弾き返してたところだろ?」
「そうだよな…庇わなくても弾き返せるなら庇い損だよな?」
「それは俺も思ったわ!てか、どれだけすげーんだよ!超絶機動ロボ!」
「すごいよね」
3人でアニメの話をしていると教室の中で、
ご、ごめんなさいと謝っている声が聞こえた。
声がした方を見ると湯水淳二が、
誰かとぶつかって、教科書類を散乱させていた。
「おい!大丈夫かよ〜」
トラと一緒に近づいて拾ってあげる。
「あ、ありがと。一之瀬くん、霧山くん」
「俺らは大丈夫たけど…湯水は大丈夫か?」
「う、うん!俺は大丈夫だよ…いつもの事だし」
「いつもってよ〜」
湯水淳二は僕と同じく隠キャなのだろう。
クラスではなるべく目立たないようにしている。
目をつけられた僕からすると、
一緒ではないかもしれないが…
「一之瀬くんは…優しいね」
「そうか?普通だと思うけどな〜」
「そんなことないよ」
「そう言ってもらえたら、嬉しいけどな!」
「うん、俺は…そう思うよ」
「そっか!てかさ!湯水ってゲームとかしないのか?バケタイわかる?もしバケタイやってんなら一緒にやらね?」
「ゲームは好きだけど…バケタイはしてないかな」
「そっか〜!バケタイやってんなら一緒にしたいって思ったんだけど…」
「ごめんね」
「湯水が謝ることないだろ?」
「う、うん。それじゃ、本当にありがとう」
そう言って、湯水淳二は自分の席に戻った。
「湯水っていつもあんな感じだよな?」
「そうだね」
「トラと関わりたくないんじゃないか?」
「え?マジで!?」
「冗談だろ?でも、俺とリクみたいに人と関わるのが苦手なんだろうなとは思ってるがな」
「そっか〜…じゃあ、あんまりズカズカ行くのも嫌われちゃうもんな〜」
「まぁ、トラはトラだからな。好きにするのがいいんじゃないか?」
「そうだな!あんまり、考えんのとか得意じゃねぇし!」
「それが、トラの良さでもあるだろ?」
「タカさ〜…若干、俺のことバカにしてね?」
「そんなことはないさ」
「え?それってさ!マジで?」
トラとタカはいつも通り仲良く言い合っている。
僕はそれを静かに聞いていた。




