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一旦、家に帰ってからダッシュで店まで来た。

閉店には間に合ったけど…

目の前の行列を見てため息をついてしまった。

これなら走らなくても間に合ったかな?

だが、バケタイの星を手に入れる為だ!

何時間でも並んでやんよっ!

そんな気持ちのまま僕は行列に並んでいた。


だが、僕が買える順番が回ってきた時には、

やっとで買えるよ…と疲れていた。

兄ちゃんの分と自分の分を買って、

さぁ、帰ってバケタイだっ!と思っていたら、

声をかけられてしまった。


「あれ?霧山くんだよね?」


振り返るとクラスメイトの篠宮里沙(しのみやりさ)が立っていた。

迂闊だった。行列に疲れていて、

周りを確認することを怠っていた。

まさか、クラスメイトがバケタイの発売日にわざわざ行列に並んでまで買う人間がいるなんて予想もしてなかった。

最悪だ…


「霧山くんも買ったの?化け物退治だー!☆」

「…そうですね」


ここまで行列に並んでいて、

買ってないなんて嘘でしかない。

そうですね以外になんて返せばいいんだ。

それ以外の選択肢など僕には思い浮かばない。


「そうなんだ!私ね、初めて買ったんだ!なんか、前もあったんでしょ?人気だって聞いたけど…面白いんだよね?」

「…それは…人によるとしか言えませんが…」

「そうなんだ!なんかね、難しいとか聞いちゃってさ…。私、大丈夫なのかな〜って思ってたんだけど…霧山くんがよかったら、私に教えてくれないかな?」

「…あの…ネットで調べたら…攻略サイトも…できてくると思いますので…」

「でも、やっぱり経験者に教えてもらった方がわかりやすかったりするじゃない?」

「…そうですね」


これはアレか?バケタイ買った所を見られてしまい、

教えてくれと言う名の誰にも言うなよなのか?

それなら、大丈夫ですよ。

僕は誰にも言いません。

だから、早く帰らせてくれないでしょうか?


「じゃあ、霧山くん!今度教えてね!」


そう言って、篠宮里沙は立ち去っていった。

あー、解放された。

わかってますよ。僕は誰にも言いませんので。

まぁ、話す相手なんていないんだけどな…

そう思いながら、家に帰った。


「ただいま〜」

「リクちゃん!おかえり〜!」

「母さん、兄ちゃんは仕事?」

「クウちゃんはまだお仕事みたいね〜」

「そっか〜」


僕は兄ちゃんの部屋に入り、机の上にバケタイを置く。

そこに買ったぜ!我が兄よ!と置き手紙を書いた。


母さんと一緒にご飯を食べる。


「そう言えば、トラとタカが母さんの唐揚げが美味いってすごく喜んでたよ。ありがとうって伝えててって言ってた」

「あら?そうなの?じゃあ、またお弁当に入れる時は3個入れてあげなきゃね♪」

「いつもありがとうね」

「何言ってるのよ!リクちゃんのお弁当作るの楽しいのよ〜」

「そっか。でも、ありがとう。いつも美味しい弁当作ってくれてさ」

「あらら!リクちゃんも大人になったのね…」

「いや、まだ高校生だよ」

「大人と子供の狭間かしら?」

「それを僕に聞かないでくれる?」

「リクちゃん…それで、彼女はできたの?」

「ごちそうさま!ゲームしてくるから!」


僕はお皿を片付けてから、自分の部屋に行った。

さぁて、バケタイをしますかね!


バケタイの武器種類は元々、

刀、双剣、両手剣、銃しかなかったが、

今回、槍、斧、弓が追加された。


武器ごとにレベルがあり、化け物と戦うことで経験値が貯まり、武器レベルが上がっていくのだ。

そして、武器ごとのダンジョンがあり、

そこで武器ごとの素材を手に入れることができるのだが、雑魚敵が出てくるので武器のチュートリアルとしても活用することができる。


とりあえず、一通り使ってみるか。


刀は横斬り、縦斬り。

双剣は左斬り、右斬り。

両手剣は横斬り、縦斬り。

銃はハンドガン、スナイパーライフル。

槍は薙ぎ払い、突き。

斧は横斬り、縦斬り。

弓はナイフ、弓。


プレイスタイルは本当に自由で武器を投げて攻撃したりできるし、ジャンプやしゃがみ、寝転ぶこともできて、ステップにスウェイまですることができる。


本当の猛者はスウェイで化け物の攻撃を全避けする人もいるぐらいだから、本当に奥が深い。

化け物にしがみついて攻撃したりもできて、

自由度はハンパない。

でも、やっぱり僕は双剣がしっくりくるなと思った。


このゲームの難しいところは村育成部分だろう。

もちろん強い化け物になるとかなり難易度は上がるが、そこに行くまでの村育成がかなり難しい。


化け物を退治したら国からの報奨金をもらえるのだが、それの使い道はだいたい3通りある。


1つ目が村の発展。

村を大きくすることで村人の許容人数を増やすことができ、村人が快適にすごすことが出来るというもの。


2つ目が武器屋、防具屋、アイテム屋の増築。

増築することで作れる装備やアイテムが増える。

だが、素材はもちろん必要だし、村人の人数次第で作れなかったり、村人の信頼度が低ければ品質も悪いものになってしまう。


3つ目が村人への還元。

村人にお金を配り、食料や生活費に当ててもらうことで村人の信頼度を増やすことができる。


こう聞くと何が難しいんだろうと思うだろう。

難しいというのには理由がある。


化け物に負けてしまうと大きくした村が壊され、村人の人数が減り、村の信頼度は下がり、武器屋、防具屋、アイテム屋のいずれかが潰れる。


もちろん潰れたお店は増築の選択肢で作り直すことができるが、今まで増築してきた分が最初に戻ってしまうのだ。

さらに上位と言われる強い化け物を倒した時にも、ランダムで負けた時と同じ現象が起こってしまうのだ。


さすがに村が壊されるのはワンランクダウンで留めていてくれているが…それでも、今まで少しずつ育てた村が一気に壊された時は、ゲームを投げてしまいたくなったこともある。

だから、クソゲーと呼ばれたこともあるのだが、それでもめげずにやり続けているのはやはり楽しいからだろう。


僕は双剣を使いレベルを上げる。

だが、僕はこのゲームで夢があるのだ。

それは兄ちゃんと一緒に叶えたい夢。


このゲームで武器を投げると、武器を拾うまでは無手状態で戦うことになる。そして、なんと無手にもレベルがあるのだ!

武器レベルより遥かに溜まりずらい経験値…

でも、無手で化け物を倒すなんてロマンじゃないか!

だから、たまに双剣をわざと投げ捨て、

無手で戦うことで経験値を貯めるようにしている。


結局、双剣も無手のレベルも今日は上がらなかった。

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