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休みの日2日目。
昨日、みんなでゲームをして帰ってから、
舞さんから連絡があった。
明日、メイのことを頼めるかしら?
母さんにも話して、大丈夫ですよと返事を返した。
だから、今日はメイちゃんが遊びにくる日だ。
ピンポーン
「はーい!」
母さんが玄関の扉を開けると、
舞さんとメイちゃんが立っていた。
「紗織さん。いつもありがとうございます」
「いいのよ!舞さんはお仕事が忙しいんでしょ〜?それにメイちゃんに会えて嬉しいんだから!ねぇ〜!」
「ねぇ〜!」
母さんはメイちゃんと笑い合っている。
「璃空くんもいつもありがとうね」
「いえ…大丈夫ですので。舞さんもお仕事忙しいでしょうけど、無理されないでくださいね」
「うん。ありがとうね。それじゃ、紗織さん、璃空くん。芽衣のことお願いしますね」
「はーい!お任せあれ〜」
舞さんは笑顔で頭を下げてから、
お仕事に出掛けていった。
「メイちゃん!今日は何して遊ぶ〜?」
「なにしよ〜!!」
母さんは本当にメイちゃんのことが、
可愛くて仕方ないみたいだ。
お昼まで沢山遊んだメイちゃんは、
お昼ご飯を食べて眠たくなったようで、
寝てしまった。
「ただいま〜」
「あれ?兄ちゃん、おかえり」
「おう!メイちゃんも来てたんだな」
「うん。仕事はどうしたの?」
「早く終わったからな、切り上げて帰ってきたよ」
「そうだったんだ」
「クウちゃん、おかえり〜」
「母さん、ただいま」
するとメイちゃんが目を覚ました。
「あれ?にーにのにーにがいる〜」
まだ眠たそうにしているけど、
兄ちゃんに気付いたようだ。
「にーにのにーにだよ。もう少し寝ててもいいんだよ」
「んー…にーにのにーにと遊ぶ〜」
「んー?遊ぶの?」
「うん…」
だが、うつらうつらとしていて、
また眠りにつきそうだった。
「もう少しお昼寝してから遊ぼうね」
そう言って、兄ちゃんはメイちゃんを、
ポンポンと寝かしつけた。
「なんか…そうやって見ると兄ちゃんの娘みたいだね」
「そうか?」
「兄ちゃんに子供ができたら…こんな感覚なのかな?」
「そうかもな〜。まぁ、俺に相手が現れたらの話だけどな」
「たしかに…」
「クウちゃんなら大丈夫でしょ〜」
「母さん…前にも言ったよね?」
「わかってるわよ〜」
母さんは少し拗ねた表情でそう言った。
「そう言えば、父さんっていつ帰ってくるの?最近、帰ってきてないよね?」
「パパは忙しいから〜。なんたってみんなのことを守ってるんだもの!」
僕は父さんが何の仕事をしているのか知らない。
小さい頃に正義の味方をしていて、
悪の秘密結社からみんなを守っていると聞いた。
流石に今でも信じているわけではないけど、
母さんはいつまでもそう言い続けている。
父さんは突然休みを2日とって帰ってくる。
1日目は母さんに時間を使って、
2日目に息子の兄ちゃんと僕に時間を使う。
父さんはいつまでも母さんのことを、
1人の女性として愛している。
それが息子ながらに尊敬しているところだ。
「リク、なんかあったのか?」
「いや、別に何もないけど…元気にしてるのかなって思ってさ」
「パパは正義の味方なのよ〜!元気に決まってるじゃない!」
「うん。そうだね」
「父さんのことだから、今頃タバコでも吸ってるんじゃない?」
「そうかもね」
僕と兄ちゃんはそう言って笑った。
悪の秘密結社からみんなを守ってくれてるみたいだけど、正義の味方が喫煙者という変わった父なのである。




